- 著者
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上村 雅之
- 出版者
- 日本デジタルゲーム学会
- 雑誌
- デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.2, pp.191-203, 2009
テレビ受像機でゲーム遊びが楽しめるテレビゲーム機が米国で誕生して半世紀の歳月が流れた。世界中の人々に親しまれている多くの遊び道具が永い歴史を刻んでいる中で、テレビゲームは最も新しい遊び道具の一つと位置づけることができる。第二次世界大戦後急速に普及した代表的な大衆向け商品、テレビ受像機と電卓(電子式卓上計算機)がテレビゲームの誕生と普及の鍵を握っていた事実 はテレビゲームの歴史を考える上で重要なポイントである。そして多くの大衆向け商品と同様にテレビゲームも又「ブーム」と呼ばれる急速な普及現象に支えられながら現在もなお、技術的な変貌を遂げつつある。本論文では第一部で世界初のテレビゲームブームに至るまでの歴史を概観する。又第二部では、現在のテレビゲーム産業の基礎を築いたとされているファミコン(正式名称ファミリーコンピュータ)の登場までの歴史とその設計思想の概要を紹介する。尚本論文は筆者がファミコンの開発に一技術者として参加した時に体験した様々な出来事を歴史的な流れとして理解する為の調査・研究を 基に執筆されたものである。