著者
髙谷 洋隆 髙橋 信之 雪田 恭兵 黒木 大史 松並 裕美子
出版者
マツダ株式会社
雑誌
マツダ技報 (ISSN:02880601)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.83-89, 2019

<p>新型MAZDA3の開発にあたり,ドア開発チームは,「静粛性」をドアシステムの中心性能と位置づけ,開発を行った。狙いとする性能は,以下3つの技術コンセプト「① 面の連続化+通気経路のゼロ化による空力騒音の低減」,「② 質量則使い切り+多重壁化による透過・伝ぱ音の低減」,「③ ガラスの膜振動最小化によるドアガラスからの透過音低減」を適用し,具体化した。空力騒音の低減に対しては,キャビン周りで発生する空気渦を抑制するため,サッシュやピラーガーニッシュの段差や形状を適正化した。更に,通気をなくした新構造のアウターハンドルを採用した。透過・伝ぱ音の低減に対しては,シールの連続性とベルトライン下インナーパネルエリアの穴隙ゼロ化を追求した。インナーパネルエリアに関しては,「直通の穴」と「透過損失の穴」を無くす取り組みを行った結果,透過損失のロスを従来の半分以下とし,総質量を殆ど増加させずに遮音性能を向上させた。車両全体での徹底した穴隙ゼロ化の取り組みにより,背反性能であるドア閉まり性との両立が問題となったが,この問題に対しては,「ドア開閉連動の空調制御」と「閉まり性を向上させたドアチェッカー」の適用により,静粛性を一切犠牲にせず,滑らかで心地のよいドア開閉操作性とを両立させた。</p>

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