著者
小出 慧
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.P-24, 2020

<p>【目的】立位や座位での頭部前方位が上肢機能不全を引き起こすと報告されているが,肩関節疾患の症例に対し背臥位にて介入する場合が多い.そこで今回は,背臥位での頭部位置の違いが肩関節運動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.</p><p>【方法】被験者は健常成人男性11名(24.5±1.5歳)とした.課題動作は右側の肩関節最大屈曲動作と肩関節屈曲90° とし,各3回ずつ施行した.背臥位にて頭部の高さ0cm・ 3cm・5cmの3条件を,木材を頭部の下に置く事で設定した.測定機器はデジタルカメラ2台を用い,それぞれ頭頂部と右肩峰が中心となるよう設置した.マーカーを頭頂部・右肩峰・右腋窩から骨盤に下ろした線と第7肋骨が交わる点(以下,側腹部)に貼付した.動作前後の側腹部の高さの変化量,安静位での頭頂部と右肩峰の高さの差を撮影した画像よりImageJにて算出した.また肩関節最大屈曲時の角度を計測した.データ解析は平均値を代表値とし,頭部の高さの3条件間で比較検討した.統計処理はSPSS(IBM社製)を使用し一元配置分散分析及びTukey検定を用い有意水準5%未満にて実施した.</p><p>【倫理的配慮】ヘルシンキ宣言に基づき対象者に対し事前に研究の趣旨を十分に説明し同意を得て実施した.また本研究は当院倫理委員会の承認を得て行った.</p><p>【結果】側腹部の移動量は3cmが0cmと比べ有意に少ない結果を得た.右肩関節最大屈曲角度は3cmが5cmと比べ有意に大きい結果を得た.安静位での頭頂部と右肩峰の高さの差は3cmが他条件と比べ有意に少ない結果を得た(p<0.05).</p><p>【考察】0cmの条件では頭部位置が低く,過度な胸椎前弯が生じたと考える.5cmの条件では頭部位置が高く,先行研究にて頭部前方移動すると肩関節屈曲可動域制限が生じると述べていることから,本研究でも同様に制限が生じたと示唆される.このことから3cmの条件は姿勢変化が少ないと考えられ,要因として安静位での頭頂部と右肩峰の高さの差が少ないことが示唆された.</p>

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背臥位での肩関節屈曲角度と頭の高さ ✅頭の高さを0、3、5cmと変え、肩屈曲可動域を測定 ✅0cmの条件では過度な胸椎前弯 ✅5cmの条件では肩関節屈曲可動域制限 ✅3cmの条件は姿勢変化が少ない 可動域測定、エクササイズ時に頭の高さも要注意 https://t.co/43iP8oFFKA

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