著者
小柳 磨毅
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, 2020

<p><tt>保健医療学学会の設立に関わらせていただいたのは,故</tt> <tt>西村 敦先生のお誘いがきっかけでした.「療法士を中心とした学際的な学会を設立し,大学院教育の発展にも結び付けたい」とのご趣旨に感銘し,ご一緒させていただきました.設立当時は会の運営や学会の準備に手間取ることもありましたが,回を重ねる毎に,皆様のご協力もあって円滑に進めることができるようになりました.</tt> <tt>学際的な色彩の強い本学会は,普段は接することのない様々な情報に触れることができ,感性を刺激されることが度々ありました.さらに様々な視点から議論が行えることは,大学院生を指導する立場として,教育的な価値が高いと感じています.また会員と編集委員の皆様のご尽力により,本学会の機関誌である「保健医療学雑誌」が刊行され,大学院生を含む多くのセラピストが査読を経て情報発信できることは,本学会の優れた社会的,学術的な貢献と思います.</tt> <tt>過去の学会では,海外から講師をお招きしたこともありました.当時,アメリカメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースにおいて,主任の理学療法士を務めておられたスー女史に講演をいただきました.多数のスライドを拝見してお話を聞き,米国の充実した設備や環境に圧倒されました.しかし同時に,スポーツ損傷に対する理学療法の基本的な考え方や技術には,共通するものが多いという実感があり,本邦からの国際的な情報発信の重要性を痛感した機会でした.</tt> <tt>本会では,数年前から一般演題の中に,学部の学生が発表できるセクションが設けられました.優秀演題を表彰する制度も併設し,学生の研究意欲の向上にも貢献しています.人と議論をしながら真理を追求していくという,セラピストには欠くことのできない資質を,学生時代から高めていく意義は極めて深いと思います.</tt> <tt>西村先生のご遺志に応えるためにも,今後も微力ながら本学会の発展に努めたいと思</tt><tt>います. </tt></p>

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