著者
多田 周平 木村 佳記 向井 公一 里田 由美子 中江 徳彦 近藤 さや花 小柳 磨毅
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11512, (Released:2019-06-21)
参考文献数
28

【目的】前後に開脚して片側の殿部を着座したHalf sitting にて,体幹を前傾する運動(以下,HSE)の運動力学的特性を,スクワット(以下,SQ)との比較から明らかにすることを目的とした。【方法】健常成人10 名を対象に,右下肢を前方に接地して体重の1/2 を負荷するHSE とSQ を実施した。三次元動作解析装置と床反力計,表面筋電計を用いて運動計測を行い,右下肢の関節角度,床反力,関節モーメント,筋活動電位(%MVC)を算出し,両課題間で比較した。【結果】HSE はSQ に比較して股関節の屈曲角度と伸展モーメント,床反力後方成分,内側広筋と半腱様筋の筋活動が有意に高値を示した。一方,膝関節の伸展モーメントと外部内反モーメント,床反力内方成分は有意に低値を示した。【結論】HSE は膝関節運動がなく,SQ に比較して外部内反モーメントも有意に小さく安全である一方,膝伸展モーメントは小さいながらも,内側広筋と半腱様筋の活動が有意に高まる。
著者
多田 周平 木村 佳記 向井 公一 里田 由美子 中江 徳彦 近藤 さや花 小柳 磨毅
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.233-241, 2019 (Released:2019-08-20)
参考文献数
28

【目的】前後に開脚して片側の殿部を着座したHalf sitting にて,体幹を前傾する運動(以下,HSE)の運動力学的特性を,スクワット(以下,SQ)との比較から明らかにすることを目的とした。【方法】健常成人10 名を対象に,右下肢を前方に接地して体重の1/2 を負荷するHSE とSQ を実施した。三次元動作解析装置と床反力計,表面筋電計を用いて運動計測を行い,右下肢の関節角度,床反力,関節モーメント,筋活動電位(%MVC)を算出し,両課題間で比較した。【結果】HSE はSQ に比較して股関節の屈曲角度と伸展モーメント,床反力後方成分,内側広筋と半腱様筋の筋活動が有意に高値を示した。一方,膝関節の伸展モーメントと外部内反モーメント,床反力内方成分は有意に低値を示した。【結論】HSE は膝関節運動がなく,SQ に比較して外部内反モーメントも有意に小さく安全である一方,膝伸展モーメントは小さいながらも,内側広筋と半腱様筋の活動が有意に高まる。
著者
多田 周平 木村 佳記 向井 公一 里田 由美子 中江 徳彦 近藤 さや花 小柳 磨毅
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.233-241, 2019

<p>【目的】前後に開脚して片側の殿部を着座したHalf sitting にて,体幹を前傾する運動(以下,HSE)の運動力学的特性を,スクワット(以下,SQ)との比較から明らかにすることを目的とした。【方法】健常成人10 名を対象に,右下肢を前方に接地して体重の1/2 を負荷するHSE とSQ を実施した。三次元動作解析装置と床反力計,表面筋電計を用いて運動計測を行い,右下肢の関節角度,床反力,関節モーメント,筋活動電位(%MVC)を算出し,両課題間で比較した。【結果】HSE はSQ に比較して股関節の屈曲角度と伸展モーメント,床反力後方成分,内側広筋と半腱様筋の筋活動が有意に高値を示した。一方,膝関節の伸展モーメントと外部内反モーメント,床反力内方成分は有意に低値を示した。【結論】HSE は膝関節運動がなく,SQ に比較して外部内反モーメントも有意に小さく安全である一方,膝伸展モーメントは小さいながらも,内側広筋と半腱様筋の活動が有意に高まる。</p>
著者
小柳 磨毅
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, 2020

<p><tt>保健医療学学会の設立に関わらせていただいたのは,故</tt> <tt>西村 敦先生のお誘いがきっかけでした.「療法士を中心とした学際的な学会を設立し,大学院教育の発展にも結び付けたい」とのご趣旨に感銘し,ご一緒させていただきました.設立当時は会の運営や学会の準備に手間取ることもありましたが,回を重ねる毎に,皆様のご協力もあって円滑に進めることができるようになりました.</tt> <tt>学際的な色彩の強い本学会は,普段は接することのない様々な情報に触れることができ,感性を刺激されることが度々ありました.さらに様々な視点から議論が行えることは,大学院生を指導する立場として,教育的な価値が高いと感じています.また会員と編集委員の皆様のご尽力により,本学会の機関誌である「保健医療学雑誌」が刊行され,大学院生を含む多くのセラピストが査読を経て情報発信できることは,本学会の優れた社会的,学術的な貢献と思います.</tt> <tt>過去の学会では,海外から講師をお招きしたこともありました.当時,アメリカメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースにおいて,主任の理学療法士を務めておられたスー女史に講演をいただきました.多数のスライドを拝見してお話を聞き,米国の充実した設備や環境に圧倒されました.しかし同時に,スポーツ損傷に対する理学療法の基本的な考え方や技術には,共通するものが多いという実感があり,本邦からの国際的な情報発信の重要性を痛感した機会でした.</tt> <tt>本会では,数年前から一般演題の中に,学部の学生が発表できるセクションが設けられました.優秀演題を表彰する制度も併設し,学生の研究意欲の向上にも貢献しています.人と議論をしながら真理を追求していくという,セラピストには欠くことのできない資質を,学生時代から高めていく意義は極めて深いと思います.</tt> <tt>西村先生のご遺志に応えるためにも,今後も微力ながら本学会の発展に努めたいと思</tt><tt>います. </tt></p>
著者
武岡 健次 七堂 大学 山田 保隆 河村 廣幸 岡田 光郎 小柳 磨毅 澤田 甚一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.71-74, 1995-05-20 (Released:2007-03-29)
参考文献数
7
被引用文献数
4 2

パーキンソン病患者が,姿勢保持障害により後方に転倒することはよく知られている。しかし,姿勢保持障害の定量的な評価は困難であり,転倒危険性の予測は医師・療法士などの経験により判断されていた。そこで我々はパーキンソン病患者の転倒危険性を定量的に評価するため,傾斜刺激に対する立位保持能力を測定した。対象はパーキンソン病患者14例(男性7例,女性7例)で,Yahrの重症度分類(stage)はIIが3例,IIIが8例,IVが3例であった。方法は,対象をTilt tableの足底面に起立させ,足底面を後方へ傾斜させた際,立位保持できた最大傾斜角度を測定した。測定時,側方よりビデオ撮影を行い,開始立位時および後方傾斜により後方に倒れた時の股関節の角度変化を算出した。 パーキンソン病患者の立位保持可能な最大傾斜角度は健常人に比べて,有意に小さかった。また,パーキンソン病患者内ではIV群が,II・III群より小さい傾斜角度で後方に倒れる傾向がみられた。最大傾斜角度が6°以下のものは,全例が転倒経験を有していた。パーキンソン病患者のIV群は開始立位時において大きく前屈姿勢をとっていたが,逆に後方転倒時までの股関節の角度変化は小さく,開始立位に近い状態で後方に転倒していた。 これらの結果から後方傾斜刺激による姿勢保持障害の測定が,転倒危険性を予測する定量的な評価方法として有効であると考えられる。