- 著者
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勝木 亮
大久保 宏貴
金城 政樹
普天間 朝上
金谷 文則
- 出版者
- 西日本整形・災害外科学会
- 雑誌
- 整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.2, pp.376-380, 2020
<p>30歳,男性,アフリカ系アメリカ人,米軍の消防士.5か月前,バスケットボール中に転倒し,右手をついて受傷した.同日,右第2中手骨骨折の診断で,2か月間前腕ギプス固定を行われた.右手関節痛が持続し,手背部の骨性隆起を認めたため,当院を紹介された.第2中手骨基部及び手関節背側に圧痛を認めた.手関節背屈は可能だったが,抵抗を加えると疼痛が誘発された.握力は右10 kg,左42 kgと低下していた.単純X線像及びCTにて第2中手骨基部橈側の骨欠損と手関節背側に小骨片を認め,MRIで骨片に長橈側手根伸筋(ECRL)が連続し,陳旧性ECRL裂離骨折後偽関節と診断した.ECRL腱が付着した骨片を原位置に戻して骨移植を行い,tension band wiringによる偽関節手術を行った.術後4週間の前腕ギプス固定後に,関節可動域訓練を開始した.術後4か月で骨癒合が得られた.術後8か月で手関節可動域は制限なく,握力は47 kg(健側40 kg)に改善した.手関節掌背屈時痛や圧痛はなく,原職に復帰した.</p>