著者
久保 壱仁 田行 活視 渡邊 匡能 佐藤 元紀
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.244-246, 2017-03-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
8

レボフロキサシンの稀な副作用としてアキレス腱障害がある.今回レボフロキサシン投与が誘因と考えられる両側アキレス腱断裂の1例を経験したので報告する.症例は70歳男性.尿路感染症に対しレボフロキサシン500 mg/日で4日間投与され,3日目より両側足関節痛を認めていた.レボフロキサシン投与中止後NSAIDS内服にて経過観察されていたが4週後起床時に両側足関節腫脹を認め,徐々に階段昇降やつま先立ちができなくなったためMRI撮影したところ両側アキレス腱断裂を認めた.両側アキレス腱縫合術を施行し,術後3週間免荷期間を設け,その後荷重訓練を開始した.現在は自立歩行可能で再断裂は認めていない.ニューキノロン系薬剤の副作用による腱障害の機序については明らかにされていないが,高齢,ステロイド内服,慢性腎不全などがリスク因子である.
著者
河上 純輝 菊川 憲志 小田 勇一郞 森田 誠 橋本 憲蔵 田村 諭史 福間 裕子 高田 興志
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.552-555, 2018-09-25 (Released:2018-11-12)
参考文献数
4

肩石灰性腱炎と診断されシメチジンを投与した症例について,臨床症状および単純X線の改善率を検討した.当科において肩石灰性腱炎と診断され,シメチジンを投与された33例35肩(男性6肩,女性29肩)を対象とした.病期分類としてDePalma分類を用いた.シメチジン内服後の疼痛を消失・軽快・不変に分け評価した.石灰化については,単純X線正面像で評価した.DePalma分類における急性期が25肩,亜急性期が6肩,慢性期が4肩であった.30肩(85%)で症状の改善(消失+軽快)を認め,24肩(69%)の症例で単純X線写真での石灰化改善を認めた.肩石灰性腱炎に対し,シメチジンの投与は有効な治療法の一つであると思われた.
著者
伊集院 俊郎 石堂 康弘 八尋 雄平 廣津 匡隆 栫 博則 瀬戸口 啓夫 中條 正典 福倉 良彦 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.737-740, 2014-09-25 (Released:2014-11-11)
参考文献数
19

梨状筋症候群は,明らかな画像所見を伴わないことが多く,診断に苦慮することが多い.腰椎椎間板ヘルニアや神経症状を呈する骨盤内腫瘍など,他の疾患の除外も必要である.我々は,坐骨神経の解剖学的破格が原因であった2例を経験した.一例は,術前に解剖学的破格が推定できなかったが,もう一例は,術前にMRI検査でT2強調画像と拡散強調画像の融合画像により,術前に梨状筋・坐骨神経ともに2分しているBeaton分類B型の解剖学的破格を診断することが可能であった.梨状筋症候群は,坐骨神経の破格を伴うことも少なくなく,診断には他の疾患の除外診断とともに,特徴的な理学所見の有無,慎重な画像診断による解剖学的破格の有無を予測することが診断の一助となる.
著者
案浦 聖凡 王 享弘 小林 晶
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.339-343, 1996-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

From 1986 to 1995, 256 patients who had an ACL injury were operated on in our hospital. We investigated ACL injury mechanism in these patients. We examined the relationship between the position of the knee joint and the derection of force when the ACL was torn. Valgus stress to the knee and external rotation of the tibia on the femur was thought to be the most common injury mechanism.Forty-four patients with an acute complete ACL tear were examined by Magnetic Resonance Imaging (MRI). Among them, 64% showed signs of “bone bruise” located at both the lateral femoral terminal sulcus and the postero-lateral part of the tibial plateau. These findings suggest that the common injury mechanism of the ACL involves severe anterior subluxation with impact of the posterior part of the tibia on to the femur. Particularly in a non-contact type of ACL injury, we think that contraction of the quadriceps exerts an anterior drawing force onto the tibial tubercle when the patient lands from a jump. This was thought to be the cause of the anterior tibial dislocation tibia, even if the tibia was rotated externally.
著者
中島 大介 白石 元 杉 基嗣 住浦 誠治
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.568-570, 2017-09-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
5
被引用文献数
1

【目的】スポーツにより発症した第1肋骨疲労骨折の3例を経験したので報告する.症例1は14歳男性でスポーツは軟式テニス,症例2は14歳男性でスポーツは剣道,症例3は17歳男性でスポーツは野球であった.全例で明らかな外傷なく発症し,スポーツを禁止し自然に軽快した.第1肋骨疲労骨折の疼痛部位については,多くが第1肋骨部でなく肩甲部痛であったと報告されており,症例3では疼痛部位が異なるため診断に難渋した.また画像診断についても,単純X線正面像では,第1肋骨疲労骨折の好発部位である第1肋骨の鎖骨下動脈溝が,鎖骨や第2,3肋骨と重なりやすく,診断に難渋する場合があるが,単純X線で上から15~30度での撮影や,下から60度での撮影が有用である可能性がある.
著者
塚本 祐也 神保 幸太郎 白濱 善彦 田中 康嗣 下河辺 久雄 重留 広輔 加藤田 倫宏 吉田 史郎 坂井 健介 田中 憲治 吉田 健治 後藤 琢也
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.469-471, 2014-09-25 (Released:2014-11-11)
参考文献数
7

近年,加圧トレーニングはトップアスリートだけでなく一般人にも広く普及している.加圧トレーニングによってCrush Syndromeおよび長期運動障害を合併した1例を経験したので報告する.症例は15歳男性.野球部の練習中に加圧トレーニングを約15分実施.直後より両上肢の鬱血と強い疼痛および運動障害をきたしたため当院救急外来受診.血液検査にて白血球14830/μl,CPK2095IU/l,ミオグロビン631ng/mlと上昇,入院にて輸液管理を行った.入院1日目にミオグロビンは2013ng/mlに上昇,入院2日目にCPKは32309IU/lと急激な上昇を認めCrush Syndromeと診断した.輸液負荷を継続することで入院4日目からCPKは改善傾向になり,8日目にはCPKおよびミオグロビンは正常範囲まで改善した.両肘関節運動障害は徐々に改善して,受傷4か月で完全伸展可能となった.
著者
平山 雄大 中野 哲雄 越智 龍弥 安岡 寛理 田畑 聖吾 中原 潤之輔 酒本 高志 前田 和也
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.690-692, 2018-09-25 (Released:2018-11-12)
参考文献数
8

100歳以上の大腿骨近位部骨折の術後成績を検討した.症例は2001~2017年に手術を施行した100歳以上の大腿骨近位部骨折11患者13例で,年齢は100~103歳,平均100.9歳,性別は男性2名,女性9名,骨折型は大腿骨頚部骨折4例,転子部骨折6例,転子下骨折2例,頚基部骨折1例であった.手術法は全例内固定術を行い,うち頚部骨折1例は偽関節のため再手術(人工骨頭置換術)を施行した.歩行再獲得率は63.6%(7/11例)で,周術期の合併症は術前肺炎1例,術後肺炎1例,術後肺炎+心不全1例であったが,全例が改善して自宅退院・施設入所・転院となった.術前評価にて手術が禁忌となるような既往症がなければ,100歳以上の患者でも積極的に手術を行うべきであると考える.
著者
生田 拓也
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.688-691, 2010-09-25 (Released:2010-12-08)
参考文献数
11

有痛性二分膝蓋骨に対してcannulated screwを用いたtension band wiringによる骨接合術を行い良好な結果を得ているので報告した.症例は6例である.X線学的分類では全例Saupe分類III型であった.性別は男性5例,女性1例で年齢は12~44歳,平均22.7歳であった.全例,分裂部を掻爬新鮮化した上で内固定を行った.術後はknee braceにて固定し,免荷することなくできるだけ手術翌日より可動域訓練を行った.術後4週頃よりスポーツを許可した.全例,術後経過は良好で疼痛は順調に軽快した.本疾患に対する骨接合術の報告においては良好な結果を得ている報告もあるが,内固定材のゆるみを生じ再手術を要したとの報告もある.本法は固定力が強く早期よりのリハビリテーションを許可しても良好な結果が得られており有用な方法であると考えられた.
著者
樋高 由久 古江 幸博 田村 裕昭 永芳 郁文 本山 達男 川嶌 眞之 尾川 貴洋 片山 隆之 川嶌 眞人
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.443-446, 2012-09-25 (Released:2012-11-27)
参考文献数
10

γネイルを用いた骨接合術後に二次骨折をおこした3例について報告する.〈症例(1)〉87歳,女性.施設で転倒し,左大腿骨転子部骨折を受傷.初回手術後35日目に転倒し,再骨折を認めた.〈症例(2)〉52歳,男性.施設入所中転倒し,左大腿骨転子下骨折を受傷.初回手術後38日目に転倒し,再骨折を認めた.〈症例(3)〉79歳,男性.ベッド上で左股関節痛により体動困難となり,左大腿骨転子下骨折を認めた.初回手術後182日目に転倒し,再骨折を認めた.全例がネイル先端から遠位横止めにかかる二次骨折であり,遠位横止め部位にかかる応力の集中が二次骨折に関与していることが考えられた.しかし,捻転力による二次骨折,ネイルの回旋や沈み込みによる変形や疼痛などの合併症を避けるためには,遠位横止めは必要であり,遠位横止めの是非は今後の検討が必要と考えられた.
著者
赤瀬 広弥 吉岩 豊三 宮崎 正志 野谷 尚樹 石原 俊信 津村 弘
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.362-366, 2017-03-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
10

【はじめに】Bertolotti症候群は1917年にBertolottiが提言した最尾側腰椎の肥大した横突起と仙骨間に関節を形成し,腰痛を生じる症候群である.今回,Bertolotti症候群に対し横突起切除術を施行した2例を経験したので報告する.【症例】28歳女性と64歳女性.いずれも保存的治療に抵抗性の腰痛があり,単純X線,CTでは片側性に横突起と仙骨翼での関節形成が見られた.両症例とも横突起直上より侵入し,横突起切除術を施行した.1例目では,横突起基部から関節突起間部にかけての視認性が不良であり,横突起基部の切除に難渋した.2例目では顕微鏡を使用し,L5神経根に対して,より愛護的に施行し得た.いずれも術後,症状改善を認めた.【考察】手術的治療には横突起切除術と固定術があり,いずれも良好な成績が報告されている.われわれの症例では,横突起切除術を施行し,症状の改善を認めた.横突起基部の切除には,L5神経根が近接するため慎重を要するが,愛護的な処置のために顕微鏡が有用であった.
著者
時吉 聡介 井手 淳二 廣瀬 隼 水田 博志
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.228-230, 2009-03-25 (Released:2009-06-02)
参考文献数
7

【目的】超音波検査は侵襲が少なく,外来で検査が可能であり,非常に簡便な検査法である.当施設で行った超音波検査の正診率について検討した.【対象と方法】平成19年3月から11月までに熊本大学医学部附属病院にて肩関節鏡視下手術を行った28人(男性16人,女性12人,平均年齢52.3歳)を対象とした.超音波検査を術前に行い,腱板断裂の有無を肩甲下筋腱,棘上筋腱,棘下筋腱おのおのについて診断した.最終的な診断は手術時の所見とし感度,特異度,正診率を算出した.【結果と考察】肩甲下筋腱;感度は100%,特異度92.0%,正診率92.9%であった.棘上筋腱;感度は93.3%,特異度84.6%,正診率89.3%であった.棘下筋腱;感度は36.4%,特異度100%,正診率75.0%であった.我々の結果は諸家の報告と比べてやや低い傾向にあった.正診率を挙げるためには今後もトレーニングが必要と考えられた.
著者
福岡 真二 野村 茂治 桑野 正 安部 秀顕 佐々木 賀一
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.1527-1531, 1989-02-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
4

A case report of a 12-year-old male with heterotopic ossification of the patellar tendon is presented. He was a baseball player and came to our clinic with the complaint of bilateral gonalgia after exercise. We diagnosed the case as Osgood-Schlatter disease. Inspite of the conservative treatment, a fragment was separated from the tibial tuburcle. The ossicle moved to the central portion of the patellar tendon, increasing its size.
著者
梅木 義臣 瀬良 敬祐 竹下 豊秋 岩永 博隆 乗松 敏晴 鈴木 良平
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.861-864, 1989-10-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6

In the past 8 yesrs, the authors have treated 4 cases of traumatic dislocation of peroneal tendons in Nagasaki Mitsubishi Hospital. All of these were old cases, and they were treated by operative therapy with Du Vries' method. Even through a long period of follow-up, there was no evidence of mobile bone fragment absorption. Neither was there a complaint about limited range of ankle motion, nor were the incidents of pain and redislocation observed. With all the cases, therefore, the results were highly satisfactory. Du Vries' method, limiting the dislocation of the peroneal tendon from outside the joint and yet capable of completely preventing the dislocation of tendon, can be said to be an excellent technique.
著者
山口 美弘 志田原 哲 井上 善博 松原 好宏 仙波 英之
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.252-256, 1994-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

Because of the increasing use of fluoroscopy in treating femoral neck fractures, we should recognize the radiation risk to orthopaedic surgeons and paramedical staff. Using a digital dosimeter, we directly measured the radiation exposure to the neck of the staff. Although the dose of radiation was low, cavalier use of fluoroscopy is to be condemned, because no one has yet accurately determined whether low-dose radiation is harmful.
著者
村尾 哲 江口 正雄 和田 文夫 島内 卓 井樋 直孝 中島 勝也 柴田 堅一郎 杉岡 洋一 塩田 悦仁
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.316-320, 1988-10-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
4

We have been reported the effects of some drugs (ex. calcitonine, vitamin D etc.) on epiphyseal growth plate of HEBP (EHDP) induced rachitic rats, but those effects may be characteristic for HEBP induced richets. So we started the study about strontium induced rachitic rats. In this paper, effects of calcium and strontium content in a diet on epiphyseal growth plates of rats were reported.Our results were as follows: 1) With the diet containing 2 weight % of strontium and 0.1 weight % of calcium for 3 weeks, remarkable rachitic changes of epiphyseal growth plate of the rat were evoked; 2) In this exprimental model, serum Pi and Ca decresed, and serum Alp incresed significantly compared with control.
著者
依田 周 古市 格 村田 雅和 宮田 倫明 森口 昇 塚本 正紹 江頭 秀一 浅見 昭彦 仙波 英之 野口 康男 原 真一郎 前 隆男
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.613-618, 2010-09-25 (Released:2010-12-08)
参考文献数
7
被引用文献数
1

【背景】骨癒合評価時期について臨床現場や論文で医師間の認識に相違を感じることがあり,骨癒合と判定するタイミングを調査することとした.【方法】1.長崎大学,関連病院および佐賀骨折治療研究会所属医師103名を対象に,大腿骨骨幹部骨折に対して髄内釘を試行したレントゲンを経時的に提示.仮骨出現時期,仮骨架橋構造形成期,骨癒合時期,抜釘可能時期および整形外科経験年数についてメールアンケートを実施した.2.アンケートに用いたレントゲンを画像ソフトで処理し仮骨部の濃度,面積を評価.【結果】1.回答43名,経験年数は平均13.6年.いずれの時期においても医師間による相違が見られ,経験年数による差は見られなかった.2.仮骨部の濃度,面積は仮骨増生が強い時期に最大となり徐々に低下を認めた.【考察】レントゲンによる骨癒合評価は主観的要素や撮影条件により左右され,また整形外科医と放射線科医でも差を生じるとの報告もあり今回の調査でその傾向が認められた.
著者
今村 悠哉 藤本 徹 瀬井 章 谷脇 琢也 岡田 龍哉 水田 博志
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.89-93, 2012-03-25 (Released:2012-06-26)
参考文献数
11

【目的】画像上著明な脊髄圧迫所見を認める頚椎椎間板ヘルニア症例において,保存的加療が可能であった1例を経験したので報告する.【症例】48歳女性.特に誘因なく後頚部から両肩にかけての激しい痛みと両手指のしびれ感が出現し,発症10日目に当科を受診した.筋力は保たれていたが,MR像にてC3/4正中型のヘルニアによる高度の脊髄の圧迫を認め,疼痛が強く手術を希望したが,2週間のカラーキーパー装着で疼痛半減したために,保存的に経過をみた.発症後2ヶ月のMR像でヘルニアは縮小し,7ヶ月後には完全に消退,頚部痛と両手指のしびれ感も消失した.【考察】腰椎椎間板ヘルニアの自然消退に対するメカニズムは明らかとなっているが,頚椎椎間板ヘルニアでの報告は少なく,本症例のように高度の脊髄圧迫を示した報告は限られる.短期間で症状の軽快を示すような症例の中にはヘルニアの自然消退が得られる可能性がある.
著者
鶴田 敏幸 峯 博子
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.472-478, 2014-09-25 (Released:2014-11-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(OCD)症例106例を後ろ向きに調査し,家族歴,受動喫煙,スポーツ歴,内側上顆下端障害とOCD予後との関連を検討した.その結果,9.2%に家族歴があり,受動喫煙率は78.2%と高率であった.家族歴,受動喫煙率とOCDおよび橈骨頭予後の間には明らかな関連は認められなかった.スポーツは89.6%が野球で,投球動作のない水泳・新体操(1.9%)もあった.X線像上,少年野球選手に対し体操選手は上腕骨小頭後方に病巣が描出されていた.内側上顆下端障害は,初診時内側上顆下端に分離骨片を認め,最終調査時癒合が認められた群(type I),非癒合群(type II),初診時から変形治癒が認められた群(type III),変形が認められなかった群(type IV)に分類され,OCD及び橈骨頭の予後は,type IVは全例良好で,type IIで不良例の割合が高かった.また,初診時に骨端線が開存していた群は閉鎖後群に比べて予後が良好であった.
著者
中川 剛 糸川 高史 中島 康晴 山本 卓明 馬渡 太郎 本村 悟朗 大石 正信 秋山 美緒 岩本 幸英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.217-219, 2013-03-25 (Released:2013-06-11)
参考文献数
12

人工股関節全置換術(THA)後の脱臼は最も頻度の高い合併症の一つであり,多くの因子の関与が報告されている.そのうち,骨頭径は最も大きなインプラント因子であることとされている.32mm骨頭径の脱臼予防効果を明らかにする目的で,1998年以降の初回THA症例で1年以上経過観察し得た923症例1033関節の脱臼率を調査した.各骨頭径における脱臼率は22mm:194関節中9関節(4.6%),26mm:717関節中15関節(2.09%),32mm:110関節中0関節(0%)であり,Pearson単変量解析にて3群間に有意差を認めた.32mm径骨頭は有意にTHA後脱臼を減少させた.
著者
菅田 耕 黒木 浩史 濱中 秀昭 猪俣 尚規 増田 寛 樋口 誠二 帖佐 悦男
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.86-88, 2012-03-25 (Released:2012-06-26)
参考文献数
5

Cervical anginaはPhillipsによって1927年に初めて提唱された病態で,何らかの頸椎近傍の病変に由来する狭心症発作性前胸部痛と定義され,さまざまな報告がなされている.この胸痛は生命への危険性を有する虚血性心疾患と同様な疼痛を呈することから,心疾患による胸痛との鑑別が重要である.頚椎・頚髄疾患による胸痛の発生機序に関しては後根への刺激,前根への刺激,椎間板や椎間関節からの関連痛,交感神経系の関与などが提唱されているが,明確な原因は不明である.今回我々は,心疾患に由来する胸痛が否定され,CTMやMRIでC7神経孔部での神経根の圧迫を認め,神経根ブロックをおこない,症状の軽快を認めたことから,C7神経根由来のCervical anginaと診断し,椎弓形成術+椎間孔拡大術を施行し,症状の改善がみられた1例を経験した.