著者
中島 信久
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.43-51, 2020

<p>「尊厳と安心のある社会に向けた緩和ケアと地域づくり」を目指すとき,コミュニケーションの視点から取り組むことは大切である。緩和ケアにおけるコミュニケーションは,患者-家族間,医療者間,患者・家族-医療者間の3つに大別される。このうちの2つ目,すなわち医療者間コミュニケーションに焦点を当てて論じる。医療者間のコミュニケーションを考える場合,「連携」がキーワードになる。この「連携」には「他の職種との連携(多職種連携)」,「診療科間の連携」,「専門家とジェネラリスト(一般臨床家)との連携」「病診連携・病病連携」などといった様々なかたちがある。</p><p>がん対策基本法の制定,PEACE研修会の開催,緩和ケア病棟や在宅緩和ケアの充実などにより,近年,わが国の緩和ケアの質は向上した。その一方で,地域間で提供される緩和ケアやがん医療の質に差異があることも事実である。われわれが沖縄で行っている4つの柱からなる包括的なプラン(「緩和ケアを『広める』『高める』『深める』『繋げる』ための取り組み)が,こうした問題を改善し「地域づくり」に役立つと思われるので紹介する。具体的には,①県全体への基本的緩和ケアの普及(=広める)とともに②地域緩和ケアの中核を担う医療者のレベルアップ(=高める)を図り,さらには③がん治療と緩和ケアの統合の実践(=深める)を専門レベルで行う。①,②,③に取り組みながら④多職種連携・地域連携を進める(=繋げる)ことが,質・量両面で充実したコミュニケーションに基づいた「尊厳と安心のある社会に向けた緩和ケアと地域づくり」の発展につながると期待される。</p>

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