- 著者
-
臼井 智子
- 出版者
- 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会会誌 (ISSN:21880077)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.3, pp.165-171, 2020
<p>小児のかぜの診療で耳鼻咽喉科医のはたす役割は,適切なプライマリ・ケアを行うこと,耳鼻咽喉科領域の合併症や小児科医へ紹介すべき症例を見逃さないことである.プライマリ・ケアとして実際に投与されている薬剤は有効性が確立されていない.副作用に留意し,投薬の目的は限定的な対症療法とすべきである.耳鼻咽喉科領域の合併症には急性中耳炎,急性鼻副鼻腔炎などがあるが,見える所見を見逃さず,これらの疾患に特徴的な症状がある場合耳鼻咽喉科を受診するよう小児科医に周知することが重要である.小児科医への紹介のポイントは,急性期の重篤な症状の場合とかぜの自然経過と異なる症状が続く場合や低年齢児の発熱である.当科の検討で,小児科に紹介し入院適応となった症例は,入院不要であった症例と比較して有意に低年齢で,急性中耳炎合併例,経口摂取不良例が多く,低年齢児は感染により経口摂取不良を起こしやすく全身状態に影響が出やすいと考えられた.</p>