- 著者
-
星野 高徳
- 出版者
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
- 雑誌
- 廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
- 巻号頁・発行日
- vol.31, 2020
<p>戦前の東京市、大阪市、名古屋市では、近世以来の農村還元処分が重要な役割を果たしていたが、市営汲取、下水処理化については、異なる対応がとられ、汚物掃除費の水準に相違が見られた。東京市は部分的に屎尿の下水処理化が試みたものの、主に従来の農村還元処分を拡大することによって、屎尿問題の緩和を図っていたため、汚物掃除費は高い水準で推移した。それに対して、大阪市は汲取処理は根本的な解決策にならないと考えたため、下水道、下水処理場による処理を目指し、汚物掃除費ではなく、下水道整備に対する費用を充実させていた。名古屋市は下水処理と農村還元処分を併用することにより、衛生面と財政面の双方の問題に配慮しており、汚物掃除費は大阪市より高い水準で推移した。3市の政策に相違が見られた要因としては、①下水道の敷設、屎尿の運搬に関係する地勢の違い、②大阪市の関一のようなリーダーシップを持った市長の存在が挙げられる。</p>