著者
翁 百合 Högberg Pereric 宮川 絢子
出版者
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
雑誌
NIRAオピニオンペーパー
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-14, 2020

スウェーデンは、強制的なロックダウン政策を採用せず、国民の自主性に任せる緩やかなコロナ感染症対策を採用している。こうした政策を採用した背景には、ロックダウン政策は、短期的に効果はあっても再び感染拡大を招くため、国民が長期に耐えられる政策を採用すべきとの専門家の判断がある。同時に、憲法で、中央政府は、国民の移動を禁止できない、地方自治体の自治を尊重する、公衆衛生庁といった専門家集団である公的機関の判断を尊重することが規定されていることに注目すべきである。この強制をしない政策に対して、海外からは批判も多く聞かれるが、国民の評価は比較的高い。歴史的に政府への国民の信頼は培われてきており、また科学的エビデンスに基づく政策決定であることを理解して、国民はこれに協力している。また、自らの行動を自ら決めることを尊重する国民性も支持の背景として指摘できる。有効な手立てを講じて国民の健康を守るためには、各国で実施される政策について知見を増やし、参考にすることも有益と思われる。その際、その国の文化、歴史的背景、社会的資本、法制度や医療制度など多面的に研究したうえで、わが国にとって最善の在り方を検討、模索していく必要がある。

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