著者
内川 久美子
出版者
コンテンツツーリズム学会
雑誌
コンテンツツーリズム学会論文集 (ISSN:24352241)
巻号頁・発行日
vol.3, 2016

近年「パワースポット」という言葉を見聞きする様になり、新聞やテレビに代表されるメディアでもよく登場する。2010年の全国紙3紙に掲載されたパワースポットの記事は実に264回に及び年々増加傾向にあり、現在ではパワースポットブームと呼ばれている。パワースポットは地域資源の役割を為し新しい観光を創出し、まちに賑わいをもたらす地域活性化が期待出来る側面がある。その一方、パワースポットとはどの様な意味を持ち、どの様な場所かといった学術的研究は殆ど見当たらない。前述のパワースポットの記事の分析から、パワースポットは社寺、自然、御利益がある場所他に大きく分ける事が出来る。中でも社寺をパワースポットと捉えている事が多い。本研究ではパワースポットと呼ばれている社寺をパワースポット社寺と呼称し着目して、社寺という特有の場に参詣者は何をしに行くのか、参詣の折、どの様な行動をするのかについて考察を行う。現在、代表的な社寺参詣として初詣を挙げる事が出来る。研究方法として初詣の人出者数全国上位10社寺と比較する為、その中から代表的なパワースポット社寺に実地調査を行った。その結果、初詣が正月三が日に人出が集中するのに対し、パワースポット社寺へは平日にも幸せを祈願する女性や若い人のマイルドな感覚の参詣が目立っていた。また初詣が参拝後、おみくじや絵馬等の授与品売り場に寄る位で境内を散策する事は殆どないがパワースポット社寺では本殿以外の場所、たとえば社寺隣接の入場料を支払う場所であってもそこに向かい、幸せを願い、縁結び等の御利益があるとされる何がしかの娯楽性を伴った体験をする。さらには携帯電話やスマートフォンで写真を撮り、直ぐにその場からSNS等で参詣者が情報発信する行動形態が読み取れた。これらによりパワースポット社寺へのファンやリピーターが増え、賑わい創出に繋がっていると考えられる。

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