著者
與那嶺 周平 宮城 拓也 新城 愛 下地 志月 山城 充士 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.351-356, 2021

<p>80 歳台男性。全身に広がる血疱を伴う紅斑と紫斑で当科を受診した。血液検査でヒト T 細胞白血病ウイルス 1 型(Human T-cell leukemia virus type 1,HTLV-1)抗体陽性で,成人 T 細胞性白血病・リンパ腫(Adult T-cell Leukemia/Lymphoma,ATL)様細胞 6360/μl,可溶性 IL-2 レセプター(sIL-2R)22,545 U/ml と高値であり,CT 検査で多発リンパ節腫大と脾腫があった。皮膚生検で真皮血管周囲に異型リンパ球浸潤があり,免疫組織化学的に浸潤細胞は CD3,CD4,CD7,CD25,CCR4 陽性であった。左鼠径リンパ節生検でも異型細胞浸潤があった。急速に呼吸状態が悪化し,FiO<sub>2</sub> 0.6 でSpO<sub>2</sub> 94%と呼吸不全となった。CT 検査で小葉中心性陰影やスリガラス影があり,胸水細胞診で ATL 細胞を多数確認し,ATL 急性型と診断した。年齢や既往,全身状態から,多剤併用化学療法ではなく,メチルプレドニゾロン 40 mg/day とエトポシド 25 mg/day の内服を開始したが効果は不十分であった。モガムリズマブの投与追加により,呼吸状態は改善し,皮疹と末梢血中 ATL 様細胞は消失し,sIL-2R も 346 U/ml と低下した。ATL は近年,骨髄移植に適さない高齢発症例が増えており,治療戦略に苦慮するが,経口化学療法とモガムリズマブによる治療を組み合わせることで良好な治療結果を得られた 1 例を経験したため報告する。</p>

言及状況

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血疱を伴う紫斑から診断した成人 T 細胞白血病・リンパ腫急性型の 1 例 : https://t.co/icUJizB21I

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