出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.329, 2019

協力:学校法人第一平田学園 中国デザイン専門学校今回のファッションショーを企画するにあたり、まずはじめに、地元岡山・倉敷の「ジーンズ」が頭に浮かびました。日頃、身体や生活に合ったおしゃれを楽しむことや出かけることが難しい重症心身障害者の方が、ちょっとおしゃれをしてお出かけしたくなるような、カジュアルファッションをイメージして構成しました。この思いに賛同してくださった中国デザイン専門学校は、国内でも珍しくファッションデザイン科にデニムジーンズ専攻コースを有しており、より専門的な技術やアイデアでご協力いただきました。3名の出演者やご家族には、「おしゃれ」についておたずねしましたので、そのコメントをもとに今回の出演者をご紹介します。なお、実名でのご紹介については、ご家族の承諾をいただいています。坂万優子さんは、ピンクや淡いパープル系の色が好みで時々スポーティーな服も着ますが、基本的に可愛らしいデザインのものが好きです。レギンスや短パン、スカートもよく着ています。最近はお姉さんの結婚式におしゃれをして出席したり、成人式ではドレスを着たりして、特別な日のおしゃれも体験しました。髪型はお姉さんお勧めのボブヘアーですが、お出かけの時にはセットしてアレンジしたりして、トータルなおしゃれも考えています。池田千鶴さんは、小柄ということもあり、水玉やフリルのついた可愛い系の服が好みでした。最近では、「いまどき女子」の服に挑戦したり、外出するときは、ガラッと雰囲気を変えて大人っぽい服を着たりすることもあります。歌や音楽が好きで、曲に合わせて笑顔でリズムをとる姿が「かわいい、かわいい」といわれますが、おしゃれをすると、さらに皆から「かわいい」と言われるので、おしゃれすることは大好きです。宮木俊輔さんは、在宅で暮らしながら、通所事業所に通っています。医療的ケアが濃厚で、変形も強いので、着る服装は限られますが、おしゃれは大好きです。お母さんと一緒にその日に着るTシャツやポロシャツを選ぶことから朝がスタートします。また、車椅子はどんな服装でも素敵に見えるように、フレーム以外は全て黒で統一しています。好きなことはたくさんありますが、出かけて行く先々で、人と出会うことが何より大好きです。「かっこいい!」という言葉をかけてもらうととても嬉しいですが、中でもお祖母さんがいつも体をさすりながら掛けてくれる言葉が最高に嬉しいです。「俊ちゃんは、つらいこともいっぱいあるじゃろうに、心がきれいじゃから、いつも満面の笑顔でおれるんじゃなぁ。この笑顔がみんなに元気をくれて、幸せにしてくれとる。えらいなぁ。一番かっこいい!俊ちゃんは、かっこいい生き方をしとるよ」。中国デザイン専門学校の先生方や学生の皆さんは、何度も施設に来てくださり、出演者の生活の様子や車椅子のこと、介護のことも考えて、一人ひとりの「おしゃれ」のためのデザインを提案してくださいました。機能的な面からのちょっとした工夫やカジュアルファッション特有の面白さをお伝えできたらと思います。また、それらを着こなしているモデルの表情もご覧下さい。担当:旭川荘療育・医療センター出演者(敬称略50音順)池田 千鶴坂 万優子宮木 俊輔

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