- 著者
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林 角郎
- 出版者
- 千葉県暖地園芸試験場
- 雑誌
- 千葉県暖地園芸試験場研究報告 (ISSN:03887774)
- 巻号頁・発行日
- no.5, pp.20-38, 1974-03
1. フリージアの休眠打破について,これまで知られている30℃の高温処理に対し,より短期間の処理で効果を得るため各種燃焼材料のくん煙,燃焼ガスあるいは薬品の蒸気,ガスなどの気浴処理による効果を試みた結果,エチレン,アセチレンなどのガス気浴処理,あるいはくん煙処理が有効であった。2. このくん煙処理やガス気浴処理の効果は一定期間以上の高温処理と組合せて行なった場合より効果が確実であり,また気浴処理の時期は高温処理期間中その中間の時期に行なった場合効果が高かった。3. このため早期促成栽培に使用する球根は高温処理と組合せて,くん煙処理などを行なうことが望ましく,その場合当初30℃で4~5週間の高温処理ののち,くん煙処理を行ない,その後は25℃または室温で3~4週間貯蔵をして冷蔵を開始した場合,最も冷蔵感度向上の効果が高かった。4. くん煙処理は得やすい材料としてもみがらを使用した場合,処理場内容積1m3当り2~3 lを毎日1回燃焼し,3日間行なう方法が好ましく,またエチレンなどのガスによる場合,対空気容量0.1~1%の濃度で3日間気浴処理することが好ましいと考えられる。5. 上記の方法による場合,処理開始後冷蔵開始までは約8週間の期間を要するので,5月上旬から処理が行なわれた場合,7月上旬から冷蔵を開始することができ,高冷地などで栽培すれば10月上中旬などのかなり早期からの出荷が可能になるものと思われる。6. また一般平地における促成栽培で8月下旬以降に冷蔵する場合は,高温処理を必要とせず,球根を入手後くん煙処理を行ない,その後室温で貯蔵するだけで冷蔵感度を高めることができるものと思われる。