著者
細谷 宗令
出版者
千葉県暖地園芸試験場
雑誌
千葉県暖地園芸試験場研究報告 (ISSN:03887774)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-14, 2000-03

冷蔵促成栽培における冷蔵処理時の諸条件が,フリージア球茎の増殖に及ぼす影響を明らかにするために,'ブルーヘブン','エレガンス','ミラベル'の中・小球を用いて試験を行った。処理条件として冷蔵の有無では10℃5週間の冷蔵処理と無冷蔵処理の2処理区,冷蔵温度では7.5~12.5℃まで2.5℃間隔で3水準と無処理区,冷蔵期間では10℃で4~8週間まで2週間間隔で3水準と無処理区,冷蔵方法では湿冷,乾冷処理の2処理区,植付け期では10月3日~10月31日まで2週間間隔で3水準の処理区をそれぞれ設定した。1. 冷蔵処理によって子球の増殖は'ブルーヘブン','ミラベル'でみられたが,'エレガンス'ではほとんどみられなかった。木子の着生は冷蔵処理により多くみられ,特に'エレガンス'で多かった。合計の球根数は冷蔵処理することで3品種とも明らかに多く得られた。2. 冷蔵温度が高くなるにしたがって子球数の増加が'ミラベル'でみられたが,他の2品種では一定の傾向はみられなかった。木子の着生は'ブルーヘブン','ミラベル'の10℃処理区で最も多くみられたが,'エレガンス'では7.5℃区であった。合計の球根数は'ブルーヘブン','ミラベル'の10℃処理区,'エレガンス'では7.5℃区で多かった。3. 冷蔵処理期間が長くなるにしたがって子球数の増加が'ブルーヘブン','ミラベル'でみられたが, 'エレガンス'では一定の傾向はみられなかった。木子の着生は3品種とも冷蔵処理期間の影響はみられなかった。合計の球根数は'ブルーヘブン'では6,8週間処理区,'ミラベル'は8週間処理区でそれぞれ最も多く,'エレガンス'では一定の傾向はみられなかった。4. 湿冷処理することで乾冷処理よりも子球の増殖は'ブルーヘブン','ミラベル'で多かったが'エレガンス'では差はみられなかった。木子の着生は'ブルーヘブン'では湿冷処理区で明らかに多かったが,'エレガンス','ミラベル'では差はみられなかった。合計の球根数は'ブルーヘブン'では湿冷処理区で明らかに多かったが,他の2品種では差はみられなかった。5. 3品種とも植付け期による差は子球の増殖ではみられなかった。木子の着生は3品種とも傾向は異なっていた。合計の球根数は木子の着生と同傾向で,一定の傾向はみられなかった。6. 一連の試験の結果から,1月出荷を目指した冷蔵促成栽培において,球根増殖の点で最も有利と考えられる品種毎の冷蔵処理条件を明らかにした。
著者
林 角郎
出版者
千葉県暖地園芸試験場
雑誌
千葉県暖地園芸試験場研究報告 (ISSN:03887774)
巻号頁・発行日
no.5, pp.20-38, 1974-03

1. フリージアの休眠打破について,これまで知られている30℃の高温処理に対し,より短期間の処理で効果を得るため各種燃焼材料のくん煙,燃焼ガスあるいは薬品の蒸気,ガスなどの気浴処理による効果を試みた結果,エチレン,アセチレンなどのガス気浴処理,あるいはくん煙処理が有効であった。2. このくん煙処理やガス気浴処理の効果は一定期間以上の高温処理と組合せて行なった場合より効果が確実であり,また気浴処理の時期は高温処理期間中その中間の時期に行なった場合効果が高かった。3. このため早期促成栽培に使用する球根は高温処理と組合せて,くん煙処理などを行なうことが望ましく,その場合当初30℃で4~5週間の高温処理ののち,くん煙処理を行ない,その後は25℃または室温で3~4週間貯蔵をして冷蔵を開始した場合,最も冷蔵感度向上の効果が高かった。4. くん煙処理は得やすい材料としてもみがらを使用した場合,処理場内容積1m3当り2~3 lを毎日1回燃焼し,3日間行なう方法が好ましく,またエチレンなどのガスによる場合,対空気容量0.1~1%の濃度で3日間気浴処理することが好ましいと考えられる。5. 上記の方法による場合,処理開始後冷蔵開始までは約8週間の期間を要するので,5月上旬から処理が行なわれた場合,7月上旬から冷蔵を開始することができ,高冷地などで栽培すれば10月上中旬などのかなり早期からの出荷が可能になるものと思われる。6. また一般平地における促成栽培で8月下旬以降に冷蔵する場合は,高温処理を必要とせず,球根を入手後くん煙処理を行ない,その後室温で貯蔵するだけで冷蔵感度を高めることができるものと思われる。
著者
酒井 俊昭
出版者
千葉県暖地園芸試験場
雑誌
千葉県暖地園芸試験場研究報告 (ISSN:03887774)
巻号頁・発行日
no.3, pp.11-14, 1972-03

1968年と1969年に,パセリー,ハナヤサイ,イチゴの夏の育苗について,白,黒寒冷しゃのしゃ光の効果を比較検討した。白寒冷しゃの日よけによって,無しゃ光に対して70%,黒には40%の光量となった。苗の発育には白寒冷しゃがほぼ一貫してよし無しゃ光ではこれにやや劣り,黒の日よけでは,パセリーで欠株数が多くなり,ハナヤサイで発育が劣り,イチゴで採苗数が48%になるなどきわめて悪い結果が出た。これは,黒寒冷しゃでは光飽和に達している時間はわずか5時間程度にすぎず,真夏の強い日差しにかかわらず光線不足が続くからと考えられる。