著者
村上 卓也
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
no.353, pp.105-125, 2017-02

平成23(2011)年3月11日,午後2時46分頃,三陸沖を震源とする我が国災害史上最大級Mw(モーメントマグニチュード)9.0の巨大地震が発生した。余震を含め震源域は,三陸沖から茨城沖にかけて全長約450km,幅約150kmの範囲に集中し,この地震で発生した断層面のすべり量は最大20m以上と,かつて経験したことのない大規模な地殻変動を伴うものであった。この地震に伴い,大規模な津波が発生し,震源に近い東北地方太平洋沿岸部では巨大津波が甚大な被害をもたらした。仙台湾沿岸では,集落を中心に仙台塩竃港・仙台空港・仙台東部道路及び県・市道,工業地帯,農地等が壊滅的な被害を受けたほか,海岸保全区域の防潮堤はほぼ全壊・消失,海岸防災林もその多くが消失するなどの甚大な被害を受けた。海岸防災林は,潮害の防備,飛砂・風害の防備等の災害防止機能を有している。また,農地や集落を守るなど生活環境の保全に重要な役割を果たしており,津波に対しては,津波エネルギーの減衰効果,漂流物の捕捉効果及び内陸部への津波到達時間の遅延効果を有し,その早期復旧が求められている。仙台湾地区の海岸防災林の復旧については,国直轄事業による民有保安林の復旧要望を宮城県知事から受け,民有林直轄治山事業により林野庁が国有林と一体的に直接,その復旧を進めており,他所管事業と施工時期等について調整を図りながら,林帯地盤の復旧が完了した箇所から順次,植栽を実施し,平成23(2011)年から概ね10ヶ年での完了を目指しているところである。

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