著者
土屋 信行
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.11-34, 2012-12-01 (Released:2017-07-12)
参考文献数
23

The formation of the part of Tokyo East Lowland(below sea level area)and the uncertainties of flood hazards there: Tokyo East Lowland is characterized by the gather of mouths of the Tone,the Arakawa and the Sumida rivers in a narrow area. Therefore, Edogawa city at their down streams always fears flood disasters, which is the low land less than zero mean sea level. The heavy inundation will happen in the drainage area even pumping up water, in the coastal area by high tide and at any local areas with guerrilla rainfall. Tokyo East Lowland including Edogawa city is on the deep as the maximum of 40m alluvium soil layers, which are composed from loose sands and soft clays. The ground water used to be significantly pumped up for the industry and to obtain methane gas. The significant ground settlement by the dewatering made the land to be below the sea level. If the river dykes were collapsed by the earthquake, the 70% of Edogawa city would be flooded. As Japan is also located just on the course of the typhoons,the huger ones than ever might possibly attack Tokyo. Therefore, in this study the worse cases of the Kathleen typhoon in 1947 were assumed and several typhoon patterns were simulated in Kanto area for the uncertainties of flood hazards. Finally, it was found that the design flood at Yattajima of the Tone river might be exceeded in the case of shifting the course of Kathleen in 1947 by only 50km to the northwest. Therefore, the author has concluded that flood prevention works must be conducted for the such worse situations. It is concluded that Tokyo and Edogawa city are always feared by huge flood disasters never experienced and their dykes will be the key of life line for Tokyo and Japan.
著者
岡本 芳美
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.73-96, 2013

昭和22年(1947年)9月15日,関東地方はカスリーン(Kathleen)台風の襲来により,各地に大雨が降った。特に,利根川上流域に有史以来最大級の大雨をもたらした。カスリーン台風はどのような台風であったのであろうか。なお,カスリーン台風は,カスリン,またはキャサリン台風ともよばれる。図-I参照。(次の""内の文は,畠山久尚と高橋浩一郎の記述を後述の「カスリン颱風の研究」から引用している。以後,""で囲まれた文は,引用文である。)"9月3日3時頃マリアナ東方1,000kmの海上に1,010mb(1mb=1hPS)位の弱い(熱帯)低気圧が発生して西北西に移動し,10日マリアナ北部を通過,11日3時頃マリアナ西方500kmの海上に達し,次第に発達して中心示度994mb位となり,台風としての気流系が顕著となった。これがカスリーン台風である(註:現在では何年の台風第何号という台風の呼び方がなされているが,当時の米進駐軍気象隊では赤道以北,経度180度以西で発生した台風に女性の名前をアルファベットのaから順々につけることにしていて,連合軍による占領下の当時の日本はこの規則に従っていた)。
著者
掛部 晋
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.37-62, 2012

2008年5月12日14時28分(現地中国時間)中華人民共和国(以下中国)四川省ぶん川県映秀鎮を震源とするマグニチュード8。0の巨大地震が発生した。死傷者46万人,家屋倒壊22万棟と大きな被害をもたらした。一方で,地震による森林の被害面積は33万ha及び,この森林植生を回復するため,日本の治山技術と中国の技術を合わせ現地に適合した森林植生回復技術を開発することを目的として独立行政法人国際協力機構(JICA)は中国政府の要請に応え,本プロジェクトを2010年2月1日から開始した。具体的には,地震被害が大きかった四川省内の綿竹市,北川県,ぶん川県の3市県をプロジェクトサイトとして,それぞれに試験施工地を設け,治山事業を実施し,その実施を通じて技術開発,技術普及を行っていこうというものである。本稿では2010年度に3市県において実施した治山工事について述べる。
著者
日下部 文雄
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.28-39, 1965-12
著者
大丸 裕武
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.60-67, 2013

2011年8月25日にマリアナ諸島の西で発生した台風12号は,9月2日から4日にかけて,ゆっくりと日本列島付近を進み,紀伊半島を中心とする広い範囲に豪雨をもたらした。とくに奈良県南部では記録的な豪雨を観測し,上北山のアメダスでは72時間雨量が1,652mmと国内観測記録を大きく塗り替えた(図1)。レーダー解析雨量では,山地奥部の雨量はさらに大きく,場所によっては2,000mmを越えたと推定されている(大阪管区気象台,2011)。このような記録的な豪雨のため,紀伊半島や中部地方の山岳域では多数の山地災害が発生した。とくに,紀伊半島内陸部の山地では,多数の崩壊が発生するとともに,大規模なもののいくつかは十津川支流の河道をせき止めて,土砂ダムを形成した。このような豪雨による深層崩壊や土砂ダムの発生については多くの専門家の注目を集めており,今後,その実態解明が進むと期待される。しかし,今回の災害に関しては深層崩壊や土砂ダム以外の現象については報告が少なく,災害の全体像についての十分な理解が進んでいないように思われる。本論では筆者がこれまでの現地調査を通して見ることが出来た現象のうち,今回の災害の特徴を理解する上で重要と思われるものを中心に紹介し,今後の研究のための基礎資料として提示したい。
著者
黒川 潮 小川 泰浩 岡部 宏秋 阿部 和時
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.63-79, 2010
被引用文献数
1

近年の土砂災害。2000年6月より始まった三宅島雄山の噴火活動は、それ以前まで約20年周期で活動してきた形態と異なり、約2,500年ぶりとなるカルデラを形成する活動となった。8月末までの7回の噴火により約1,100万m3の火山灰を噴出し、現在でも噴火口から二酸化硫黄(SO2)を主成分とする火山ガスを放出している。そのため、三宅島の住民約3,800名は9月2日の避難指示を受けて全島避難し、その避難生活は2005年2月まで4年5ヶ月の長期間に及んだ。全島避難中、山頂付近を中心として大量の樹木が枯死し、三宅島の森林面積4,000haのうち、およそ60%の2,500haに被害が生じた。保水力を失った地表面に堆積した火山灰は年間約3,000mmもの降雨によって表面が侵食され現在でも泥流の発生源となっている。このため復旧においては山腹付近における早期の緑化が求められたが、当時三宅島における緑化はいくつかの点において困難な状況であった。1つ目として激しい表面侵食によって種子が定着する前に流されてしまうこと。2つ目として火山ガスに耐性のある植物種を選定する必要があること。3つ目として三宅島は離島という隔離された環境にあるため、種子が大量に確保できる外来草本による緑化を行うことは島固有の生態系に影響を与えると考えられることである。本稿では以上の問題点を踏まえ、著者らが2000年の三宅島噴火活動後からこれまでに実施してきた土砂生産・流出の実態調査及び植生回復に向けた復旧対策についてとりまとめたものを報告する。
著者
日本水フォーラム
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
no.308, pp.1-17, 2009-08

第5回世界水フォーラムは、2009年3月16日から22日の日程でトルコ・イスタンブールのボスポラス海峡の入り江である金角湾を挟む「ストゥルジェ」と「フェスハネ」両会場において開催された。世界水フォーラムは、フランス・マルセイユに本部がある世界水会議とホスト国が主催し、3年に1度、国連の定める「世界水の日」である3月22日を含む約1週間の日程で開催される世界最大の水に関する国際会議である。第1回世界水フォーラムは1997年にモロッコ・マラケシュ、第2回世界水フォーラムは2000年にオランダ・ハーグ、第3回世界水フォーラムは2003年に京都・滋賀・大阪の琵琶湖・淀川流域、そして第4回世界水フォーラムは2006年にメキシコシティで開催された。第5回世界水フォーラムの全体テーマは、アジアとヨーロッパの架け橋に位置するイスタンブールで開催されることに掛け、「水問題解決のための架け橋」とされ、様々な水問題の解決を阻む問題(ギャップ)と、その解決策(架け橋)は何かという観点からの議論が行われた。
著者
山口 晴幸
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.24-73, 2009

自然科学紀行古水史跡編。沖縄水史観。最西端の島「与那国島」に湧くティンダハナタの断崖霊泉と水事情。断崖絶壁に囲まれた日本最西端の島。九州南端から台湾にかけて約1,200kmにわたって南西諸島が弧状に連なっている。その最南西端に形成する諸島が八重山諸島である。与那国島は、その八重山諸島の最西端、即ち日本の最西端に位置する島で、日本最後の夕日が見える西崎には、ここが日本最西端の地(東経122度56分9.33秒、北緯24度26分44.99秒)であることを記念した高さ2.5m程の2段重ねの大きな石碑が建立されている。沖縄本島まで509km、東京まで2,030km離れ、八重山諸島の主島である石垣島と117kmに位置し、稀に西方の海上に山並みを映し出す台湾と111kmの領海を隔てて対峙する、まさしく国境の島である。
著者
松浦 茂樹
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.p47-79, 1991-06
著者
山口 晴幸
出版者
水利科学研究所
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.83-121, 2008

自然科学紀行古水史跡編。沖縄水史観。宮古島の無尽蔵に地下水を秘めた洞井と水事情。先人達の水確保の始まり。約600 kmの弧状列島を形成している琉球列島のほぼ中央に位置する宮古諸島は、大小8つの島々から構成されている。宮古諸島はじめ大小150余の島々からなる琉球列島では、亜熱帯海洋性気候に位置する島嶼独特の水資源環境が形成されていることから、島の暮らしや生活様式の変遷などを語る際には、水問題や水事業などの歴史的背景やその経緯を通して、「水」との関わりを思考することが重要な要素の一つとなっている。水資源となる河川や湖沼のない宮古諸島では、水道施設が普及するまでは、古来より長い間、島民の生活用水や農業用水には、もっぱら天水(雨水)と洞窟からの湧き水が利用されてきた。今も雨水の利用は人家の庭や軒先で散見できる。以前は赤瓦屋根に樋を引き、琉球石灰岩の切石やコンクリート造りのタンクに集水していた雨水が、飲料水などの貴重な生活用水源であったが、最近ではコンクリート屋根に塩ビパイプを引きスチールやポリタンクに集水するようになった。また防潮風林として植えられた太いフクギや桑の木などの幹に藁を結びつけて雨水を集水していた。