著者
飯田 祐子
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.40-50, 2003-01-10

「読者」論は、「作者」と「テクスト」の自律性を疑い、それらをコミュニケーションの回路の中に引き込んだ。本論では、「読者」の項を含んだ回路の中で、あらためて「書き手」の位置との関係について論じる。「書き手」は必ず「読者」であり、また「読者」に向けて書くことになる。読者の問題を、書くことにおける応答性を探る試みと繋ぎ、円地文子の初期小説を中心に、文学がつくる回路の軋みを抽出した。

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