- 著者
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吉田 克志
武田 善行
- 出版者
- 農業技術研究機構野菜茶業研究所
- 雑誌
- 野菜茶業研究所研究報告 (ISSN:13466984)
- 巻号頁・発行日
- no.3, pp.137-146, 2004-03
チャの重要病害である炭疽病の抵抗性検定法を確立するため,付傷接種による抵抗性検定法を検討した。ジャガイモ蔗糖液体培地にメチルセルロース400cPを最終濃度3%(w/v)になるように混合し,これに炭疽病菌分生子を加え,最終濃度が1×10 7個/mlになるように調整した分生子懸濁液を検定に供試した。チャ炭疽病菌分生子懸濁液を付着させた,3mm幅のマイナスドライバーを用いて,充分に硬化したチャ成葉を十字型に付傷すると同時に接種を行った。その後,湿室・暗黒下で26℃,18時間静置した後,オアシス(R)育苗成型培地に接種葉を挿し,湿室条件下で2週間培養すると,その品種の炭疽病拡大抵抗性の強さを反映した,炭疽病の病斑形成が認められた。炭疽病抵抗性の強さを病斑の大きさにより,極強(3mm未満),強(3-5mm未満),中(5-8mm未満)および弱(8mm以上)の4段階に類別した。また,成葉の供試時期の違いにかかわらず再現性の高い結果が得られた。本検定法はチャの拡大抵抗性を調査するもので,圃場抵抗性を直接反映するものではないが,圃場における炭疽病自然発生の程度と本検定法の結果は類似性が高いこと,幼木から採取した成葉も検定法に供試できることから,本検定法はチャ育種における炭疽病抵抗性系統の早期選抜に利用可能であると考えられる。