著者
酒井 泰文
出版者
広島県立農業技術センター
雑誌
広島県立農業技術センタ-研究報告 (ISSN:09184848)
巻号頁・発行日
no.76, pp.27-35, 2004-05

広島市安佐南区祇園町・安古市町のシュンギク(Chrysanthemum coronarium L.)栽培地域で,1979年の初秋に日本で始めてべと病(Peronospora Chrysanthemicoronarii (Sawada) S. Ito et Tokunaga)の発生が確認され,その後1982年にかけて大発生し大きな被害をもたらした。べと病が激発した1980年に現地ほ場を調査した結果,発病程度にほ場間差が認められた。この事実に着目し,ヒロシマナの白さび病(酒井,2004)と同様に抵抗性系統の利用による防除法を検討し,以下の結果を得た。1)べと病の発生が少ない農家の種子を供試し,1981年に農業試験場においてべと病菌の接種条件下で抵抗性の程度を判定した。その結果,べと病に抵抗性を持つ系統の存在を明らかにした。2)接種により発病しなかった抵抗性株を供試し,1982年から1986年にかけて農業試験場において抵抗性系統選抜のための交配をくり返した。その結果,1984年(第3世代)に中程度の抵抗性を持つ系統を選抜できた。3)各農家においても1982年から抵抗性系統の選抜に取り組んだ。その結果,各農家とも1985年(第4世代)に中程度の抵抗性を持つ系統を選抜した。4)抵抗性系統の選抜と栽培に取り組んだ結果,現地におけるべと病の発生は1982年から減少し始め,1984年以降,本病による実質的な被害はほとんどみられなくなった。

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