著者
溝淵 律子 岡本 正弘 梶 亮太
出版者
農業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
雑誌
九州沖縄農業研究センター報告 (ISSN:13469177)
巻号頁・発行日
no.46, pp.15-38, 2006-03
被引用文献数
2

「紅染めもち」(べにぞめもち)は,晩生,良食味糯の「西海糯197号(ひみこもち)」を母,晩生・赤米(粳)の「は系赤124(ベニロマン)」を父とした交配組合せから育成された赤糯品種であり,2004年1月に水稲農林糯395号として命名登録された。出穂期は「ひみこもち」より約3日早く,育成地では中生の晩に属する糯種である。稈長は中,草型は偏穂数型,止葉の直立程度はやや立で,草姿熟色は良好である。耐倒伏性は「つくし赤もち」より優れ,「ひみこもち」と同程度のやや強で倒伏しにくい。いもち病真性抵抗性遺伝子Pita-2を持つと推定され,圃場抵抗性は葉いもち,穂いもちともにやや強である。収量性は「ひみこもち」の約80~90%であるが,「つくし赤もち」に比べ標肥栽培では同程度,多肥栽培では優れる。玄米は赤褐色に着色し,「つくし赤もち」に比べ粒色は均一に濃く発色する。おこわにすると桜色を呈して美しく,おこわとしての食味の総合評価は「ひみこもち」より優れる。玄米の抗酸化性物質(プロアントシアニジン)含量は「ベニロマン」より少なく,「つくし赤もち」と同程度である。暖地の平坦地から中山間地および温暖地西部の平坦地に適応する。

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