- 著者
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竹内 正博
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 畜産の研究 (ISSN:00093874)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.1, pp.60-64, 2008-01
鶏肉業界は、ブロイラーの家畜福祉(肉用鶏の福祉)制度「農場検査制度(農林水産省)」を、行政と獣医師会の協力を得て、中長期的「2012年頃(2017年完全実施)」に導入して、国際的な高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)対策と消費者が求める「鶏肉と生鳥への安全と安心への新しい価値観」に対応していく方向性にある。育種改良と飼料増産とともに発展してきた世界の鶏肉業界は、サルモネラ、HPAI、新型インフルエンザ等の世界的問題に直面している。解決策として、欧州連合(EU)の企業と行政は、「肉用鶏の福祉」をHPAIとサルモネラ対策、そして、消費者は経済価値と位置付けようとしている。この海外の動きに対して、農林水産省も平成20年度に「ブロイラー飼育管理指針」の検討と翌年度に指針の検証に動き出した。HPAIとサルモネラ予防の社会的責任を果たすための大型国家予算と消費者の協力で、国産鶏肉業界も2010年採択予定の「鶏舎と飼育管理に関するOIE(世界動物保健機構)動物福祉ガイドライン」に対応する「ブロイラー飼育管理指針」に沿って、育種と養鶏場の改善とともにISO22000導入準備を進める必要がある。