著者
米田 勝紀
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.432-436, 2009-04

独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場は、これまで県、民間等へ改良用基礎系統を配布することを主業務としてきたが、この度、持てる素材と環境を活かして新しい鶏種「岡崎おうはん」の作出に成功した。これまで80年の歴史を持つ岡崎牧場では、牧場独自に改良種を作出したことはなく、今回が初めての試みである。岡崎おうはんは、卵肉兼用種にも関わらず、外国卵用鶏を凌駕する産卵性能を示すとともに鶏卵は黄身が大きくおいしいという特長や非常においしい鶏肉が楽しめるという二重にも三重にも優れた特性を持っている。粗食にも耐えるという特性も併せ持っており、今日的な鶏としても注目を集めている。現在の岡崎牧場は、平成9年の移転後、飼養規模が飛躍的に拡大するとともに、飼養環境が著しく向上した。各種疾病の撲滅も達成され、原種鶏牧場として最高の水準に到達しており、こうした環境の改善が岡崎おうはんの開発に結びついている。岡崎牧場が長い年月をかけて独自の育種改良を行ってきた肉がおいしい横斑プリマスロックの雄と高い産卵性能を持つロードアイランドレッドの雌を交配することによって作出した岡崎おうはんは、生産者、流通業者、消費者、食鶏処理業者、行政サイドなどから熱い視線が注がれている。現在、全国8カ所の農場で約10千羽が試験的に飼育されており、各農場からは高い評価が順次報告されている。平成20年度中に、飼養管理マニュアルの整備や経営モデルの作成を行うとともに商標登録なども行う予定である。普及。

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