- 著者
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真木 太一
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 農業および園芸 (ISSN:03695247)
- 巻号頁・発行日
- vol.85, no.7, pp.761-765, 2010-07
本年の夏季の気象経過の推測状況と冷害に向けた対策は次のとおりである。なお、夏季の気象の推測は2010年4月上旬に行い、文章化は5月中旬に行ったものである。冷夏・冷害についての著者のコメントは日本農業新聞の2010年5月5日に記述されている。2010年夏季の気象推測結果を報告する。(1)春季にエルニーニョが終息するが、海に囲まれた北日本ではポストエルニーニョとしての影響が継続しやすい。(2)インド洋の海水温の高温額向が継続しやすい。(3)地球温暖化による高温化に対する成層圏低温化によって北極から寒気の南下が北日本に影響しやすい。(4)春季気温乱高下の夏季気象への影響が継続しやすい。(5)太陽黒点数が極小期を過ぎた翌年に相当するため冷夏になりやすい。(5)アイスランド火山爆発の噴煙・ダストの地球規模浮遊と日射の減少のため冷夏になりやすい。以上6項目から、北日本太平洋側ではヤマセ気象が継続しやすいが、少なくとも北日本では冷夏が発生しやすい。ただし、北冷西暑型天候が推測されるが、全国的天候不順も否定できない。そして、地域・高度の気温較差が大きくなることで、関東以西でゲリラ型降雨が発生しやすい。冷害の原因となる6条件が重なったことで、過去の気象事例・傾向から比較的強い冷夏を推測し、本文に冷害発生を軽減する各種農業気象・営農的対策法を提示した。