- 出版者
- 農業技術研究機構果樹研究所
- 雑誌
- 果樹研究所研究報告 (ISSN:13473549)
- 巻号頁・発行日
- no.1, pp.23-33, 2002-03
1. 果樹試験場(現果樹研究所)では1970年よりウメの新品種育成に着手し、1997年に'加賀地蔵'を育成し、公表を行った。2. '加賀地蔵'は、果樹試験場において1973年に'白加賀'に'地蔵梅'を交雑して得た実生から選抜した。1983年から'ウメ筑波6号'の系統名によりウメ第1回系統適応性検定試験に供試し、1997年8月19日付けで'加賀地蔵'と命名され、'うめ農林1号'として登録、公表された。また、2000年12月22日付けで登録番号8563号として、種苗法に基づき品種登録された。3. '加賀地蔵'の樹姿は開張性で樹勢は中位短果枝の着生は比較的多く、花芽も多い。花は単弁で花弁は白色、花粉量は極めて少なく花粉稔性は低く、実質上雄性不稔性品種である。開花期の早晩は中位である。収穫期は6月20日頃となり、'南高'より1週間程度早い中生品種である。4. 果実は円形で、果実重は33gと大きく、陽向面に中程度の赤い着色が見られる。核の大きさは2~3g、核重率は10%以下で果肉が厚い。ヤニ果の発生は極めて少ない。滴定酸度は4.5~5.6%と多い。梅干し品質は良好で、漬け梅および青梅出荷に適する。