- 著者
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入江 正和
- 出版者
- 日本養豚学会
- 雑誌
- 日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.4, pp.221-255, 2002-12-25
- 被引用文献数
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9
近年、国際的に豚の改良の重点は量から質へと移行している。豚における肉質の研究も、低品質豚肉の発生防止を中心としたものから、最近では高品質豚肉生産へと移行あるいは発展しつつある。わが国において豚肉の高品質化は特に重要である。輸入肉が増加し、国産肉はコストだけでは太刀打ちできず、質で勝負しなければならない状況だからである。従来、欧米からの輸入豚肉は冷凍ものであり、加工品に回され、精肉(テーブルミート)中心の国産肉とほとんど競合しなかった。しかし、ここ数年、アメリカなどからの冷蔵(チルド)肉輸入が増加し、精肉へ利用され、国産品と競合するようになってきた。豚肉の高品質化は重要であるという認識は定着しているものの、どのようなものを高品質といい、肉質項目として何を選択し、どのように改良すればよいのかを模索しているのが養豚業界の現状であろう。まず肉質を科学的に捉え、評価することが重要である。