著者
大倉 力 朴 善姫 西岡 輝美 入江 正和
出版者
一般社団法人照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.492-500, 2009-08-01
被引用文献数
6 2

The performance of a near-infrared (NIR) spectrometer that evaluates fatty acid composition in samples depends on the NIR spectroscopic features of the samples. When you develop a NIR instrument, you have to be aware how the NIR spectra of the samples behave. In some cases, you don't need a high SN ratio or high stability. In other cases, no matter how stable the system is, you can't get meaningful data. It is wasteful to develop a highly stable instrument in this case. You should research the NIR characteristics of the samples before starting designing to avoid waste and to get a proper design. We examined the pork fat spectra before starting designing and were able to get satisfactory result. The process and aspects of measuring fatty acid composition by NIR spectroscopy are described.
著者
入江 正和
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.1-16, 2021-02-25 (Released:2021-04-03)
参考文献数
146
被引用文献数
9 3

和牛では脂肪交雑の改良が進み,脂肪質が注目されようになり,食味に対する研究も進んできたためとりまとめた.和牛脂肪はオレイン酸など一価不飽和脂肪酸含量が高く,融点が低い.脂肪質評価法ではわが国の食肉市場において非破壊で迅速な携帯型近赤外光ファイバ法の応用が進み,和牛の育種改良や銘柄化に応用されている.官能検査では和牛やWagyu肉は,多汁性,やわらかさ,風味の全ての食味性で優れ,消費者の嗜好性も高い.脂肪融点の低さは,舌触りの良さと多汁性の高さに関係する.遊離したオレイン酸,リノール酸は舌に脂肪味を感じさせる第六の呈味物質として注目され,甘味,うま味も刺激する.多価不飽和脂肪酸は酸化臭の原因になる一方で,遊離一価不飽和脂肪酸と共に,甘い香りのラクトンや脂っぽい香りのアルデヒド等の前駆物質となる.以上から和牛肉で脂肪質は,食感,多汁性,風味のすべての食味性に影響する重要な形質である.
著者
池田 由起 石塚 譲 入江 正和 亀岡 俊則 石渡 卓 鈴木 孝彦 松田 行雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.246-255, 2004-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

都市域で発生する多様な食品残渣の中から, おから, 寿司残渣, 練り製品残渣を原料として選択し, これらを気流乾燥機で乾燥した後, 回収魚アラから造られたアラミール等を添加して, マダイ用ペレット飼料を製造し, その成分を把握した。この食品残渣配合マダイ用ペレット飼料 (以下, リサイクル飼料と略す) の効果を調べるために, 63日間養殖マダイに給与して, マダイの成長等に及ぼす影響について, 市販マダイ用配合飼料と比較検討した。その結果, リサイクル飼料は, 市販配合飼料に劣らない効果を持ち, マダイの養殖に利用可能であることがわかった。食品残渣の乾燥・ペレット製造工程を最適化した食品残渣配合マダイ用ペレット飼料化システムにおける製造コストを試算し, 本システムの事業採算性を検討した。リサイクル飼料生産量6 ton/日において, IRR (Internal Rate of Return) =10%となるリサイクル飼料の販売価格は, 市販ペレット飼料と同程度となった。
著者
入江 正和 大本 邦介 熊谷 重夫
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.381-388, 1984
被引用文献数
1 1

豚の妊娠診断を,より簡単に,早期に,かつ的確に行なうために,小型軽量の人体用電子リニアスキャンを用いて超音波断層法(パルス法,Bモード)を実施した.超音波装置の探触子を無保定で起立している豚の下腹部に密着させて検査を行なったが,交配後18~21日で子宮内に胎嚢(Gestationa lSac, GS)の出現を確認することができ,これにより,あるいは,胎芽や胎児エコーの存在によって妊娠の有無を診断した結果,交配後22日以降では検査豚の99%について明確な診断を下すことができ,その適中率は100%であった.交配後25日まで平均GS径(y)は急激な増大を示し(1日約6mm),交配後の日数(x)と高い相関があり(r=0.89), y=6.97x-128.02なる回帰式が得られた.GSの形態は,発現時期では円形~楕円形のものが多かったが,以後不正形を呈するものが多くなった.GSの大きさは個体内でもさまざまであった.交配後25日頃には弱い胎芽エコーが確認できるようになり,妊娠診断も多数の大きなGSが存在するために容易であった.妊娠中期以降では,胎児の頭や体が明確に区別されるようになり,胎児の動きや胎児心臓の鼓動も観察でき,生死鑑別も可能であった.子宮内における胎児の向きや分布はさまざまであった.検査母豚における分娩頭数,妊娠期間等に異常はみられず,本法の安全性に問題はなかった.以上の成績から,超音波断層法は実用的ですぐれた豚の早期妊娠診断法であることがわかった.
著者
入江 正和
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
日本食品低温保蔵学会誌 (ISSN:09147675)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.103-107, 1996-05-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
24
被引用文献数
2
著者
入江 正和
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.221-255, 2002-12-25
被引用文献数
9

近年、国際的に豚の改良の重点は量から質へと移行している。豚における肉質の研究も、低品質豚肉の発生防止を中心としたものから、最近では高品質豚肉生産へと移行あるいは発展しつつある。わが国において豚肉の高品質化は特に重要である。輸入肉が増加し、国産肉はコストだけでは太刀打ちできず、質で勝負しなければならない状況だからである。従来、欧米からの輸入豚肉は冷凍ものであり、加工品に回され、精肉(テーブルミート)中心の国産肉とほとんど競合しなかった。しかし、ここ数年、アメリカなどからの冷蔵(チルド)肉輸入が増加し、精肉へ利用され、国産品と競合するようになってきた。豚肉の高品質化は重要であるという認識は定着しているものの、どのようなものを高品質といい、肉質項目として何を選択し、どのように改良すればよいのかを模索しているのが養豚業界の現状であろう。まず肉質を科学的に捉え、評価することが重要である。
著者
石塚 譲 因野 要一 西岡 輝美 出雲 章久 川井 裕史 山田 英嗣 大谷 新太郎 入江 正和 上脇 昭範 庄 澄子 高倉 将士 西田 祐子 大石 武士 安田 亮 おおちやまくじら生産組合 猟友会能勢支部
出版者
大阪府立食とみどりの総合技術センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

野生獣肉(ホンシュウジカ、イノシシ)成分は野生植生の影響を受けていたが、一般成分に捕獲時期の影響は少なかった。成分中では粗脂肪含量が家畜に比して少ないこと、イノシシ肉のα-Toc含量はブタ肉と同等であること、牛肉よりは酸化しやすいことが判った。利用先である西洋料理店は、年間を通じて野生獣肉を利用しており、肉利用にあたり品質や安全性を重視していること、購入価格が高いと考える店が多いことが判った。
著者
前田 恵助 山本 里美 小林 千洋 石井 浩子 上田 雅彦 築野 卓夫 入江 正和
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.179-187, 2007-05-25
被引用文献数
2

未利用資源の有効利用のため,米ヌカからの米油精製過程で産出される副産物から調製された植物性油脂製品であるライストリエノール<SUP>TM</SUP>(築野食品工業,和歌山)を飼料に添加し,白色レグホン種系採卵鶏の生産性と卵黄中のビタミンE,コレステロールなどの脂質成分に及ぼす影響を検討した.飼料にライストリエノールを0.5%添加した鶏群をライストリエノール区とし,無添加のものを対照区とした.各区50羽とし,151日齢から517日齢まで不断給餌した.適宜,採卵と採血を行い,試験終了時にニワトリの肝臓を採取した.鶏卵は卵黄中のコレステロール,チオバルビツール酸反応生成物(TBARS),トコフェロール,トコトリエノールを測定し,血清および肝臓中のコレステロール,トリグリセライドを測定した.ライストリエノール区では対照区に比べ,血清中のコレステロールおよびトリグリセライド濃度は変化しなかったが,卵黄中のコレステロール濃度が平均約14%低下した(<I>P</I><0.05).また,卵黄中のトコフェロール,トコトリエノール濃度はライストリエノール添加により420日齢では約2.8倍に増加し,卵黄中のTBARSは52%減少した(<I>P</I><0.05).とくに,それらの効果は日齢を経た鶏卵で顕著であった.産卵率,産卵日量,飼料要求率,卵白高,ハウユニット,卵殻厚にはライストリエノール飼料添加による有意な影響はみられず,ライストリエノール給与で卵重がやや増加し,卵黄色の明度ではL*がわずかに増加し,色度ではa*がやや減少した(<I>P</I><0.05).以上のことからライストリエノールの飼料添加により,卵黄中のコレステロール濃度がやや低く,ビタミンE濃度が高く過酸化脂質の少ない鶏卵を生産性に悪影響なく得られることが示された.