- 出版者
- 農業技術研究機構果樹研究所
- 雑誌
- 果樹研究所研究報告 (ISSN:13473549)
- 巻号頁・発行日
- no.2, pp.17-23, 2003-03
1. 1966年に果樹試験場興津支場において,'清見'に'トロビタ'オレンジを戻し交雑し,同場口之津支場で選抜・育成された交雑品種である。2. '口之津20号'の系統名でカンキツ第7回系統適応性・特性検定試験で検討され,1997年8月19日に'西之香'と命名され'タンゴール農林7号'として登録・公表された。なお種苗法に基づき,登録番号第8557号として2000年12月22日付けで品種登録された。3. 樹勢は中~弱で,樹姿は開張性である。そうか病に強いが,かいよう病にはやや弱い。トリステザウイルス(CTV)に対しては罹病性であるが,ステムピッティングの発生度は軽い。結実性は中位である。4. 果実の大きさは100~180g位で中果である。果形は扁球~球形で果梗部が突出することもある。果皮は濃橙~淡赤橙色で薄く,平滑で油胞が目立つ。剥皮は中~容易である。種子数は0~5粒程度で少ない。果肉は橙色で,じょうのう膜は薄く,肉質は柔軟・多汁である。中位のオレンジ香があり,食味は良好である。果汁糖度は11~13程度,クエン酸含量は適熟期に0.7~1.0g/mlになる。熟期は12月下旬から1月上旬である。5. 樹勢が弱いので,肥培管理,適正着果に留意し,樹勢の維持・強化を図る必要がある。また,高糖系品種ではないので,強勢台木への接木樹は樹勢が強くなり品質の低下をまねきやすい。