- 出版者
- 農業技術研究機構果樹研究所
- 雑誌
- 果樹研究所研究報告 (ISSN:13473549)
- 巻号頁・発行日
- no.3, pp.41-51, 2004-03
1. '王秋'は1983年に農林水産省果樹試験場(現 農業・生物系特定産業技術研究機構果樹研究所)において'C2'('慈梨'×'二十世紀')に'新雪'を交雑して育成した実生から選抜した晩生の赤ナシである。1989年に初結実し,1991年に一次選抜した。翌1992年から開始したナシ第6回系統適応性検定試験に'ナシ筑波48号'として供試して特性を検討した。その結果,2000年10月25日付で'王秋'と命名され,'なし農林22号'として登録された。また,2003年3月17日付で種苗法に基づき第11118号として登録された。2. 樹勢は強いが,短果枝の着生が多く,維持も容易である。花粉の量は多く,'幸水'とは交雑不和合であるが,他の主要品種とは和合性である。開花期は'新高'と'晩三吉'の間であり,果実の成熟期は'新高'より遅いが'晩三吉'より僅かに早い。収穫前落果が発生しやすい。3. 果実は円楕円形あるいは倒三角形である。大果で肉質は密であり,甘味が多くて品質優良である。みつ症の発生は少なく,日持ち性に富む。