出版者
大分県海洋水産研究センター
雑誌
大分県海洋水産研究センター調査研究報告 = Bulletin of Oita Institute of Marine and Fisheries Science (ISSN:13430602)
巻号頁・発行日
no.5, pp.23-28, 2004-11

1)1990-2002年度の13年間の周防灘大分県ノリ漁場の水温、比重の値を標準化して推移動向をとりまとめた。また、水温と日平均気温との関係を検討した。さらに、標準化した値を年度ごとに平均し、「高」、「平年並」、「低」水温(比重)年度の3つに分類した。2)赤ぐされ病と壺状菌病の発生日と被害の状況をとりまとめ、水温や比重との関係を検討した。また、壼状菌病については9月15日-10月20日の水温の推移と同病害の発生の有無について検討した。さらに、赤ぐされ病の発生日について、本県と福岡県有明海を比較した。3)ノリ漁場の水温は日平均気温と強い正の相関にあり、水温と気温は密接に関連していた。4)「高」水温年は1990、1998年度、「低」水温年は1995、2002年度であった。また、「高」比重年は1994、1995年度、「低」比重年は1993、1997、1999年度であった。5)赤ぐされ病は過去13年間のうち12カ年で発生していたが、低水温の年や高比重の年には発生が抑制されるか、発生時期が遅延する傾向が見られた。6)壺状菌病は過去13年間のうち7カ年で発生していたが、水温が9月中に22℃を下回るような、いわゆる早冷年に発生する傾向にあった。7)赤ぐされ病の発生日は11月20日前後が多く、福岡県有明海の発生より、およそ2週間遅れていた。8)地球温暖化に伴う今後の水温上昇を考えた場合、赤ぐされ病の抑制が期待される年は減少するが、壺状菌病の発生する年も減少すると推察された。

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