出版者
福岡県水産海洋技術センター
雑誌
福岡県水産海洋技術センター研究報告 (ISSN:09192468)
巻号頁・発行日
no.16, pp.129-141, 2006-03

有明海区・豊前海区の漁業就業者は、年齢構成の型をほとんど変化させず、後継者の補給がほとんどなされないまま高齢化し、加齢による引退や死亡によって急速に減少している。現在の動向で推移すると仮定すれば、'03年を基準として、およそ15年程度で男性就業者は有明海区・豊前海区とも、半減することが予測される。さらに女性就業者は同様に有明海区では10年程度で半減、15年程度で約1/3に、豊前海区では15年程度で半減、20年程度で約1/3にまで減少することが予測される。有明海区の漁業種類において65歳以上の高齢層が占める割合は、のり養殖、採貝、刺網とも前回調査時('91年)からほぼ倍増しており、特に採貝の高齢化が著しく、のり養殖からの引退者の移行が要因として考えられた。30歳未満の青年層の割合は、前回調査時から若干低下した程度であった。豊前海区で高齢層の占める割合が最も高いのはかごの63%で、採貝の53%とあわせ、両者とも前回調査時から20%以上増加しており、小型底びき網や小型定置網の就業者減少が要因として考えられた。青年層の割合はかき養殖で高くなっており、近年の発展を裏付けていた。今後の就業者確保のためには、新規学卒後継者の確保は言うに及ばず、高齢者、女性就業者、定年帰漁者を含むUJIターン者や地元での転職者の確実な取り込み、漁協ホームページによる情報発信、労働環境の整備等が重要と考えられた。有明海区・豊前海区とも、中国ノリの輸入解禁や漁協合併、かき養殖の台頭等、今後の就業構造に影響を与えうる多くの新たな動きがあり、継続的に調査をしていく必要性があると考えられた。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 有明海区・豊前海区における漁業就業構造の変化,2006 https://t.co/pwOpaEts8W 有明海区・豊前海区の漁業就業者は、年齢構成の型をほとんど変化させず…

収集済み URL リスト