- 出版者
- 熊本県水産研究センター
- 雑誌
- 熊本県水産研究センター研究報告 (ISSN:09181210)
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.89-99, 2008-12
アサリは、かつて熊本県の総漁獲量の40〜50%、総漁獲金額の20〜30%を占め、熊本県の水産業において最も重要な魚種であった。最盛期を知る年配の漁業者にその状況について聞くと、「アサリが3層になって生息していた」、「2時間も操業すれば船1杯のアサリが獲れたので、寝て潮が満ちてくるのを待っていた」、「1日に2回ある干潮時に、それぞれ船1杯、合計2杯のアサリを獲っていた」といったような今では信じられない回答が返ってくる。しかし、そのように豊かだったアサリ資源も、急激に減少し、ほとんど獲れない状況にまで至った。幸いなことに、一時の枯渇状態を脱し、増加傾向を示すようになってきたが、まだまだ最盛期と比較すると非常に少ない状況である。本報告では、全国的にアサリ資源の減少が認められる中、増加傾向を示し始めた熊本県のアサリ漁業の現状について報告すると共に、その課題について検討する。