著者
荒木 希世 松岡 貴浩 森下 貴文 川崎 信司
出版者
熊本県水産研究センター
巻号頁・発行日
no.9, pp.13-18, 2013 (Released:2014-03-06)

近年、有明海において頻発するChattonella赤潮は、赤潮の発生とクルマエビ漁獲量及び漁獲努力量の減少との関連性から、底生性甲殻類であるクルマエビの漁獲量の減少に影響を与えていることが示唆された。また、有明海においてC. antiquaの日周鉛直移動が確認され、本種が、栄養塩が十分に供給される状況下にあっても、能動的な輸送により夜間には海底直上層(水深19m)まで到達していることが明らかとなった。
出版者
熊本県水産研究センター
雑誌
熊本県水産研究センター研究報告 (ISSN:09181210)
巻号頁・発行日
no.8, pp.89-99, 2008-12

アサリは、かつて熊本県の総漁獲量の40〜50%、総漁獲金額の20〜30%を占め、熊本県の水産業において最も重要な魚種であった。最盛期を知る年配の漁業者にその状況について聞くと、「アサリが3層になって生息していた」、「2時間も操業すれば船1杯のアサリが獲れたので、寝て潮が満ちてくるのを待っていた」、「1日に2回ある干潮時に、それぞれ船1杯、合計2杯のアサリを獲っていた」といったような今では信じられない回答が返ってくる。しかし、そのように豊かだったアサリ資源も、急激に減少し、ほとんど獲れない状況にまで至った。幸いなことに、一時の枯渇状態を脱し、増加傾向を示すようになってきたが、まだまだ最盛期と比較すると非常に少ない状況である。本報告では、全国的にアサリ資源の減少が認められる中、増加傾向を示し始めた熊本県のアサリ漁業の現状について報告すると共に、その課題について検討する。
出版者
熊本県水産研究センター
雑誌
熊本県水産研究センター研究報告 (ISSN:09181210)
巻号頁・発行日
no.7, pp.53-65, 2007-03

有明海の湯島周辺海域で、平成12-18年に実施された、外敵駆除を目的とし、大型鮫類を対象とした延べ縄で捕獲された鮫類について、その捕獲状況を調査し、生物学的な特徴について検討した。調査期間中、計111尾の鮫が漁獲された。年度毎の漁獲尾数は、平均15.9尾で、平成13年の3尾が最も少なく、平成14年の23尾が最も多かった。漁獲された鮫類は以下の5種類であった。カマストガリザメCarcharhinus limbaus、スミツキザメCarcharhinus dussumieri、クロヘリメジロCarcharhinus brachyrus、アカシュモクザメSphyrna lewini、シロシュモクザメSphyrna zygaena。種類毎の尾数は、アカシュモクザメが、計96尾と最も多く、全体の漁獲尾数の86.5%を占めた。シロシュモクザメ、スミツキザメが6尾、クロヘリメジロザメが2尾、カマストガリザメが1尾であった。カマストガリザメ及びスミツキザメからは、産出間近と思われる胎仔が確認された。調査海域においては、6月頃には、アカシュモクザメは大型の雄個体が、シロシュモクザメは小型の雌個体が、スミツキザメは大型の雌個体が、それぞれに雌雄・大きさの異なる群れを形成していた。