著者
相馬 尚之
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論文は、人間と機械の関係を「遊び」から論じる。近年のチェスや将棋における人工知能の勝利は、人間の知能さえ機械が超越しうることを示しており、これらを受けて、『フランケンシュタイン』のように、創造主は被造物に乗り越えられ遂には破滅してしまうのではないかという恐怖が高まっている。だが18世紀末、機械は遊戯のための娯楽であった。機械は、産業革命の進展とともに見世物のための自動人形から実用機械へと姿を変え、生産性や実用性の尺度に基づく「ロボット」へと変節していったのである。そこで本論では、人間と機械の共存を模索する一つの道として、チェスや将棋を主題に「遊戯性」の観点から機械の系譜をたどることで、この盤上の世界でこそ遊戯的人間と、実用性のくびきを逃れた遊戯的機械の邂逅が果たされる可能性について検討したい。

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