著者
小林 徹
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

リサーチクエスチョンは自らが臨床現場で発見した「わからないこと、しりたいこと」、即ち臨床の疑問(クリニカルクエスチョン)を一定の形式に沿って定式化し、臨床研究として解明する形に整理したものである。NEJMやLANCETといった一流紙に掲載される大規模研究も、元をたどると小さなクリニカルクエスチョンから出発している。このクリニカルクエスチョンを実現可能なリサーチクエスチョンに翻訳する過程は臨床研究にとって最も重要な作業と言っても過言ではない。翻訳作業の第一歩として、クリニカルクエスチョンを、「どのような対象(Patents)に、どのような治療(暴露)を行ったら(Intervention or Exposure)、どのような治療(暴露)がなかった群と比較して(Comparison)、どのように結果(アウトカム)が違うか(Outcome)」のいわゆるPICO(PECO)形式に変換する。対象患者や介入(暴露)群の設定は、その定義をできる限り具体的かつ明確に表現する。比較対象群は介入(暴露)群とその介入(要員)以外は似通った集団かつその分け方が恣意的でない(医学的な根拠がある)ことが大切であり。介入型研究の場合は倫理的な麺に十分配慮する必要がある。知りたいアウトカムは原則1つのみに絞る。また、患者対象や介入(暴露)と同様に定義が明確かつ具体的であり、さらに定量的に測定可能であることが必須である。設定したアウトカムが社会にとって切実な問題であればその研究の価値は高い。良いリサーチクエスチョンにはFeasible(実現可能性がある)、Interesting(興味深い)、Novel(新規性がある)、Ethical(倫理的)、Relevant(切実な問題)、いわゆるFINERの5要素を満たす。リサーチクエスチョンへの翻訳作業中には常にFINERを念頭に置くことが肝心である。

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