著者
村田 知佐恵 丸山 綾子 定光 春奈 荒川 清美
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景・目的】新生児は体温調節機能が未熟という特徴があり、集中ケアにおいては体温管理が重視される。さらに、先天性心疾患(以下CHD)児の場合は、心負荷に繋がらない中枢-末梢温度較差を保つ必要があり、繊細な体温管理が求められる。しかし、現時点ではCHDを持つ新生児への体温管理方法について具体的なガイドラインが作成されていない。本研究では、CHDの新生児への集中ケアを担う看護師が、体温管理を行う際にどのような困難を感じているか明らかにすることを目的とした。【方法】看護経験2年以上かつNICU/PICU経験1年以上のNICU看護師5名及びPICU看護師4名に半構成的インタビューを実施した。逐語録から文脈を抽出し、得られたデータを質的に分析した。【倫理的配慮】施設の承認後、研究協力者に参加の自由意志、プライバシー保護、学会発表等を口頭と書面で説明し、同意を得た。【結果】CHDの新生児に対する体温管理で感じる困難として、看護師の語りから、次の3つが導き出された。1.CHD児に多く見られる「末梢が締まり、中枢温が高い状態」に対して、手足を温めながら同時に頭や体幹をクーリングしても、期待する効果が得られないことがある。2.新生児は低体温になりやすいが、クーリング時に体温が「下がり過ぎてしまう」ことがある。3.冷温用品を使わずに環境温で緩やかに体温を下げたいときに、空調等の問題で環境温を調節できないことがある。【考察】看護師は、CHDの新生児の体温管理において、特に体温を下げる場合に困難を感じていることがわかった。温罨法ではインファントウォーマー等の加温器を用いることが可能だが、冷罨法には段階的に調節可能な手段が少ないことも一因と推察する。本研究により、中枢温のみを下げる、下げ過ぎない、緩やかに下げるという3つの視点を基に、適切な中枢-末梢温度較差の範囲を保つための効果的な体温調節方法を確立する必要性が示された。

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