著者
豊田 章宏
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.226-235, 2011-03-25 (Released:2011-04-02)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

【背景】脳卒中発症には気温が最も影響する.発症時期については冬に多く夏に少ないとされるが一定しておらず,その理由として気象の影響の複雑さに加えて,観察期間の短さや対象数の少なさなど研究方法自体も指摘されている.【方法】全国労災病院において2002年度から2008年度に入院加療された全脳卒中症例46,031例を対象とし,脳卒中病型別に月別発症数を比較した.また気象区分から4つの地域に分けて検討した.【結果】脳出血は男女とも夏少なく冬に多発したが,北日本と西日本では最少月にひと月の差があった.くも膜下出血は女性に多く,夏少なく秋から冬に多発した.脳梗塞全体では明確な季節性は認めなかったが,ラクナおよびアテローム血栓性梗塞では夏に急増し1月に再増加という2峰性がみられ,心原性脳塞栓では冬場のみ多発した.【結論】地球環境の変化に伴い,生活環境や職場環境にも十分配慮した脳卒中予防対策が必要となる.
著者
豊田章宏
雑誌
脳神経
巻号頁・発行日
vol.49, pp.633-637, 1997
被引用文献数
12
著者
豊田 章宏
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.37-42, 2020
被引用文献数
2

<p><b>要旨</b>:わが国における脳卒中罹患労働者の復職率は30~50%であり,予測される機能回復に見合った数字には至っていない.就労支援を成功させる因子として,適切なアセスメントと患者自身の病状理解,復職を念頭に置いたリハビリテーションの実施,医療者の仕事に対する理解,職場との情報共有などが重要と考えられている.労働者健康安全機構では,平成26 年度から,患者に寄り添いながら適切な時期に必要な評価や情報提供を行う両立支援コーディネーターの養成を開始した.介入に同意した脳卒中罹患労働者に対して発症早期からの介入を行った結果,70%近い復職率が得られている.両立支援には職場側の理解や適切な配慮が必要であるが,罹患後の早期離職を防ぐためには,脳卒中診療に関与する医療者が急性期から関わることも重要である.</p>