著者
金久保 紀子
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センタ-日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.16, pp.105-119, 2001

筑波大学留学生センターで開発中の中級前半者向け教材の会話クラス該当部分を紹介する。それを使って学習した学習者の自己紹介の録音資料を使って、日本人への聞こえ方の調査を実施した。その結果、中級前半の学習者の日本語は日本人にはあまりきちんと伝わっていないことが明らかになった。日本人は学習者の名前や国などの基本的な情報を必ずしも正確に聞き取れていないこと、文型や表現などの情報が聞き取りメモにはあまり現れてこないことがわかった。文型や表現などの情報は必須の情報を聞き取るための環境として必要であることが予想される。また学習者が能動的に行えるような話題も日本人の聞き取りに関係がある。今後、会話クラスでは音声・音韻的な練習を重視すること、学習者の話したい内容を重視した練習を行うことが必要である。