著者
Željko Bošković(ジェリコ ボシュコヴィッチ)
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.152, pp.31-58, 2017 (Released:2017-12-29)
参考文献数
63

本論文は,台湾語におけるC 要素のkongについて考察する。Simpson and Wu (2002)に従い,kongがかかわる連続変調が多重スペルアウトを支持することを論じるとともに,kong構文の考察が,多重スペルアウトと連続循環的移動に対する異なるアプローチを区別する根拠となること,具体的には,Phase-Impenetrability Conditionを廃止し,スペルアウトはフェイズに適用され,連続循環的移動はフェイズの上にある句をターゲットにするというBošković(2016a)のアプローチを支持する証拠となることを示す。また,台湾語の連続変調に関する派生的PF効果と,Bresnan(1972)が指摘した英語の第一強勢付与に関する派生的PF効果について統一的な説明を与える。