- 著者
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〓谷 信三
松村 泰成
山下 晋三
松山 奉史
山岡 仁史
- 出版者
- THE SOCIRETY OF RUBBER SCIENCE AND TECHNOLOGYY, JAPAN
- 雑誌
- 日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.1, pp.39-44, 1984
天然ゴム (NR) 及びイソプレンゴム (IR) の純ゴム硫黄架橋体を作製し, 溶剤抽出により精製を行った. この架橋体に空気中, 室温でγ線を照射 (0-20Mrad) して劣化した試料を引張試験, 膨潤試験, 全反射赤外吸収スペクトルなどにより検討した. その結果, (1) NR架橋体, IR架橋体ともに, 数 Mrad のγ線照射により引張強さ (<i>T<sub>B</sub></i>) は著しく低下した. (2) <i>T<sub>B</sub></i>の低下は, 応力-ひずみ曲線の変化から, 照射によって伸長結晶化が起こりにくくなったためである. (3) 20Mrad までの照射量では, 中変形領域における応力, 例えば50%伸長時の応力 (<i>M</i><sub>50</sub>) の変化は顕著ではなく, 硬さと網目鎖濃度の変化も小さかった. (4)モノスルフィドとポリスルフィドの架橋構造の違いは, <i>M</i><sub>50</sub>の照射による変化挙動に認められたが, その差は大きいとはいえない. (5)以上の結果から, シス-1, 4-ポリイソプレンは照射により, 分解と架橋反応がほぼ同程度に起こるものと考えられる, などが明らかとなった. 伸長結晶化阻害は, 照射により構造の乱れが起こったためと考えられるが, その詳細についてはいまだ結論できなかった.