- 著者
-
〔松平定信//筆〕
- 出版者
- 写
寛政改革で有名な松平定信(1758-1829)は、文化人としても優れ、古典への傾倒もひとかたならぬものがあった。本書は、古代以来の輿や牛車に関する文や絵を古書から写し、考察を加えたもの。塙保己一の塾生稲山行教が考証し、絵師渡部広輝が作画、定信自ら詞書を記した。公家広橋伊光や故実家橋本経亮、屋代弘賢にも、内容について意見を求めている。もと16巻であったが、文化5年(1808)火災に遭い、辛うじて焼け残った部分を、定信の側近田内親輔(月堂)が後に3軸に仕立てたもの。紙の天地の焦げ目はその時の爪あとである。