著者
アカングベ ジョーンズ アデボーラ コモラフェ ソラ エマヌエル オデュワイエ ムイワ オラリンデ
出版者
産業医科大学、産業医科大学学会
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.169-175, 2015-09-01 (Released:2015-09-12)
参考文献数
17

ナイジェリアのクワラ州において,作業の危険性の農業従事者の生産性へおよぼす影響について自覚的評価に基づいて調べた.多段階無作為抽出法を用いて全160名の回答者を選別した.実証分析のためのピアソンの積率相関係数解析と共に頻度や割合などの記述的統計手法を用いて分析を行った.調査の結果,共通の農業生産物はトウモロコシ,ヤムイモ,キャッサバであった.また,共通して多い作業上の危険は農具による切傷/傷害,蚊刺しに起因するマラリア,および全身性疼痛であり,農具による傷害および全身性疼痛が農業生産性に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった.農業従事者の社会-経済学的特徴と自覚されている農業生産性への作業の危険性の影響との間には,ピアソンの積率相関係数を用いた解析においては有意な相関は認められなかった.これらの結果にもとづき,作業(農業)における危険,とくに全身性の疼痛が,農業生産性に負の効果をもたらすと結論する.この研究からは,政府と関係機関が農業従事者に保護具の使用法を訓練する普及員を通して保護具を安価で提供し,農業労働者に保護具の使用を督励することが推奨され,農業従事者自身が良好な健康状態を維持するための健康管理について教育を行うことが公衆衛生関係者には求められる.