- 著者
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アジズ M.M.
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.2, pp.188-197, 1990-12-31 (Released:2008-12-25)
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
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本研究はクウエートにおいて, 1985年に死因の40%以上を占めた外因性疾患による死亡を地域的に考察したものである。クウエートの人口は,クウエート人と非クウエート人の2つの明瞭に異なるコミュニティから成り立っており,両グループの社会的,経済的,人口学的性格は死亡の分布に大きく影響している。 死亡率は,死因に関する国際分類により,クウエート人・非クウエート人別に, 10万人ごとに算定した。外因性死亡は細菌・寄生虫感染によるものと,心疾患・腫瘍・事故を除く,それ以外のものに分けられる。前者は,減少しつっあるが, 1980年の死亡の10%を占め,クウエート人と男性に著しく,クウエート市を含む首都地区では,死亡の半数が寄生虫病によるものである。後者による死亡は, 1970年に60%であったものが, 1980年には40%台に減少した。クウエート人の死亡者数は,非クウエート人の2倍以上に上り,クウエート人の男性と非クウエート人の女性に顕著である。死亡者数は,クウエート人・非クウエート人ともに人口密集地区において多く見られるが,呼吸器系統の疾患が,特にクウエート人の主たる死因となっている。