著者
水関 博志 アンビガパシー スビータ ベンカタラマナン ナタラジャン・サシャムールシー 佐原 亮二 川添 良幸
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
計算力学講演会講演論文集 (ISSN:1348026X)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.23, pp.647-648, 2010-09-23

エネルギー問題、環境問題の解決策の一つとして、安価に作製できる多結晶シリコンを用いた太陽電池に注目が集まっている。古典的アプローチと第一原理計算を組み合わせて、シリコン結晶粒界の原子構造と電子状態を調べ、粒界による太陽電池特性への影響について検討した。すなわち、<100>,<110>,<111>,<112>に方位を揃えた二結晶のエネルギーの回転角依存性、結合長・結合角分布を求め、粒界制御、方位制御の有用性を評価した。さらに、Σ3(111)シリコン粒界に関する密度汎関数理論に基づく計算を行ない、粒界近傍の侵入型、置換型サイトにおけるNi,Fe,Cu,Cr原子不純物の影響を調べた。不純物の偏析エネルギーは置換型サイトではCu,Ni,Crに比べてFeが大きく、侵入型サイトではCu,Fe,Niに比べてCrが大きいことが分かった。偏析エネルギーの計算結果は正の値であり、Σ3(111)粒界では析出が起こらないことを示している。置換型サイトに不純物原子を置いた系では、ギャップ内に新しい準位が見られ、かつ、バンドギャップは小さくなり、これは太陽電池性能に影響を及ぼすと考えられる。