著者
ウィーガンド クレイグ 芝山 道郎 山形 与志樹 秋山 侃
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.673-683, 1989-12-05
被引用文献数
6

作物の生育と収量に関する新しい推定手法として野外での分光反射測定がある。この測定により得られた作物の波長別反射係数間の相互演算結果 (VI) が, 葉面積指数, 光合成有効放射 (PAR) および同吸収率 (Fp), PAR日吸収量 (Sp), 地上部乾物量 (DM) および収量とどのように関係づけられるかを数式で提示し, これらを茨城県つくば市での実測データに適用してその有効性を検証した。植物材料としては, 15aの水田を13区に分割し, 2移植期 (5月21日, 6月11日), 6窒素施肥水準 (0, 2, 4, 6, 8, 12 g/m^2) を設けて3品種のイネ (日本晴, コシヒカリ, シナノモチ) を栽培したものを供し, 10日ないし2週間隔で分光反射測定を行った。移植期から登熟期において, 収量ならびに積算Sp (ΣSp) はともに積算PVI (ΣPVI) の1次式で推定されることがわかった。PVIは赤および近赤外反射係数から算出されるVIである。またΣSpからDMへの転換効率 (e_c) は移植期から出穂期20日までの期間で2.9 g DM/MJ, 移植期から収獲期までは2.5 g DM/MJだった。一方収量と出穂期のDM (DM_h) とはr_2=0.92の高い相関関係を示した。DM_hと1100, 1650 nm反射係数間の差との相関関係は, PVIとのそれよりも密接であった。(r^2=0.82および0.6 g) 。