著者
小笠原 春菜 オガサワラ ハルナ OGASAWARA Haruna
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
no.17, pp.165-181, 2008-09

この論文は、ケイパビリティ・アプローチにおける自由と必要の関係について考察をするものである。具体的には、初めにA. センとM. ヌスバウムそれぞれのケイパビリティ・アプローチについて詳細に考察を行う。次にケイパビリティ・アプローチにおいて自由と必要に焦点を当てた先行研究を踏まえて、これまでの研究では見落とされていた点を明らかにする。検討の結果、センのケイパビリティ・アプローチでは自由概念と必要概念の区分が不明瞭であることが判明した。本論文では、ヌスバウムのケイパビリティ・アプローチにおける概念構築のための機能のリストアップの立場を参考にし、ケイパビリティ・アプローチにおいて自由と必要にずれが生じているケースが存在しうることを指摘している。