著者
オージェリ ジョン 大学図書館研究編集委員会
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.119, pp.2135, 2021-11-30 (Released:2022-06-24)

コロナ禍がキャンパスの対面活動の大半を実質停止させたとき,それはまた,教育・学習の実践活動において,対面/遠隔の次元を超え,将来的な議論へと集中する,先例なきパラダイムシフトを引き起こした。2020年の春以降行われた対応で劇的に増加した実践活動の中には,教育活動の新規性に関する教員の考え方が大幅に進化したことを反映したものもあった。特にその性質上,オンラインで実施される非同期型学習活動は,ポストコロナ時代のシナリオにおいて,コロナ前の形態への単純な回復だけにとどまらず,対面型への移行を考慮するのに十分重要な妥当性を示した。そのような移行において,日本国内に普及したラーニング・コモンズは,平時おこなわれるインフォーマルな活動から,さらに緊密な教授陣の関与を示唆するノンフォーマルモデルへと移行する機会を見いだすことができる。それにより,ラーニング・コモンズは,新たなレベルでの学術戦略の統合を達成し,それらが支援するように設計されたアクティブラーニングに関して,コロナ前に直面していた限界を超えることができる。教育及び学習の実践の中長期的見通しを示すものとして,本論文はこうしたラーニング・コモンズのコロナ前の状況を振り返り,ラーニング・コモンズを巻き込むことができる新しい非同期型対面活動への移行の性質及び条件について検討する。