著者
加納 孝代 カノウ タカヨ
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
青山学院女子短期大学総合文化研究所年報 (ISSN:09195939)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.125-138, 2002-12

青山学院女子短期大学の学生寮「シオン寮」は学生の人格の教育とキリスト的生活環境の提供をその目的として1951年に設置された。本橋では開寮後50年以上が経過し、卒寮生の数も3,000名を越すこの寮が果たして当初の目的を実現してきたか否かを、卒寮生の各世代から数名ずつ、計66名に依頼して得られた文章の分析にもとづいて検証した。卒寮後数年ないし数十年が経過した現在も多くの卒寮生は寮における最も重要な体験として、尊敬できる寮監や一生持続する強い絆で結ばれた友人に出会ったこと、規則や定められた日課に基づく生活の中で自制心が育ったこと、キリスト教的な環境の中で自分の生き方の基準が築かれていったことを挙げた。これらは所期の目的に充分に沿ったものであり、今後とも明確な目的意識と確固とした方針で寮運営に臨めば、学生寮は人格教育および牛リスト教教育の場として充分に機能し得ることを示唆している。