著者
河崎 祐次 カワサキ ユウジ Yuji KAWASAKI
雑誌
大阪産業大学論集. 人文・社会科学編
巻号頁・発行日
vol.12, pp.55-75, 2011-06

自動車販売会社における整備士は,技術力の高さのみならず,ユーザーとの接客対応力,部下やチームを統率する力,経営的なセンスも必要である。すなわち販社において,整備士はスペシャリストではなくゼネラリストとしての役割が期待されている。このようなゼネラリストは企業にとって「人財」であり,その育成手法については,多くの研究が行われているが,販社の整備士に焦点を絞ったものは,まだ行われていないようである。そこで,筆者が販社で「人財教育」に携わった経験に基づき,自動車短大での教職者の視線で,「ゼネラリストとして活躍する自動車整備士」を養成するために必要な教育について研究した。本論では,販社の概要について述べ,会社における自動車整備士の位置づけを明示し,整備士として超えるべき1 年目の試練と,営業への配置転換を取り上げて論じた。そして,販社への就職を成功に導くための大学教育は,コミュニケーション能力の育成と主体性の涵養を中心とすべきであることを明らかにした。